2017年05月10日

久保田早紀、精緻な旅情

わが最近のmusic life……
ラジオで紹介されていて気になったオーケストラ・バオバブ(セネガルの音楽集団)の新譜『ンジュガ・ジェンに捧ぐ』を聴く。キューバ音楽の影響もあるということだが、アフリカ音楽特有のまっすぐに疾走する感じも共存している。1970〜80年代の全盛期の演奏を集めたという作品集も出ていて、聴いてみたが、今回の新譜もそれと同じくらい良く、むしろ凌いでいると喜んだり…
先日のノラ・ジョーンズの来日コンサートを聴きに行き、堪能したが、とりわけピアノの弾き語りの曲での、恋人同士が抱き合っているような、歌とピアノの高次元で融け合う法悦に悶絶したり…
4月だったか、美空ひばりを特集したテレビ番組で華原朋美が出演してなんだったか忘れたが難しそうな曲をうたったのだが、遠近と立体感をかんじさせる歌唱で、なかなか上手にうたうなあと感心したり…
NHKFMでラ・フォル・ジュルネの中継を一日中やっていた特番の最後に、フランス国立ロワール管弦楽団がラベルの「ボレロ」をやるプログラムでジャズピアノの小曽根真とトランペットのエリック宮城が加わって、鮮烈な音の悪戯書きをほどこしていく、その異形さに感電したり…
……などなどいろいろあったが、最近は久保田早紀を聴いている。別の歌手のレコードを探しに行って(これは空振り)、この人の1stアルバム『夢がたり』(1979)を見つけ、入手して聞いてみると収録されているどの曲もそれぞれよくて魅了され、さらに2nd『天界』(1980)、3rd『サウダーデ』(1980)、4th『エアメール・スペシャル』(1981)も見つけてきて、とっかえひっかえターンテーブルに乗せている。第4アルバムはちょっと色合いが違うようだが、三番目までは「異邦人」に通じるようなシルクロード幻想、地中海幻想に導かれていて、象徴性もときに感じさせるその詞(曲によっては山川啓介も参加)の情感をあやまたずすくい取っていくのが旋律家であるこのソングライターの霊妙な耳と指であり、どの曲も音の動きの一つ一つが微細な愛しさ寂しさ哀しさの曲折をよく具現していて何度でも聴き直したい思いに駆られる。単に地理的なエキゾチズムではない、人生のexotica。アレンジは主に萩田光雄が担当している。『サウダーデ』はA面の5曲が本場のポルトガルギターの伴奏がついていて耳が歓喜にふるえる貴重さ(アマリア・ロドリゲスの歌のバックで鳴っているあれだ)。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 20:53| Comment(0) | 日記