2018年04月29日

野村喜和夫×石田尚志 対談

IMG_6490.JPG昨日午後、詩とダンスのミュージアム(世田谷区)にて、エルスール財団と洪水企画の共催で、野村喜和夫・石田尚志両氏の対談イベントが行われた。石田氏は現代美術分野での映像作家としての創作(抽象アニメーション)が最もメインになっているとのことで、作品上映も行った。その準備が大変だったようで、石田さんの家はミュージアムから近いところにあることもあり、映写機やアンプといった機材を自ら運んできて、スクリーンもホワイトボードの上に手作りした大きなキャンバスを重ねてうまく映るようにするなど、もしかしたら本番よりも事前の準備の方が大変だったのではないかと心配してしまった。
「部屋/形態」など三作が上映される。どれも5分〜10分ほどの短いものだが、制作法は描画の生成の過程を一コマ一コマ撮影するという気の遠くなるやり方で、何ヵ月もかけての忍耐強い作業の結晶がこれかと思うと、眼が強く緊張する。沖縄で出会った吉増剛造氏とのやりとりで映像に開眼したとか、イギリスに渡りその地特有の「赤・青・黄」を発見し風土につながることによって制作作業を始めることができたとか、音楽を描きたいという根本の願望とか、ご本人によって語られるヒントも作品と対面する良い手掛かりとなった。具体的な物象をつかっての抽象的構成が、恐怖、不安、恍惚、欲情、歓喜、眩惑、等々さまざまな感情を喚起する、動く絵の摩訶不思議の楽しさと魔境。
野村さんによる“座標軸”の形がここにあるという慧眼の指摘など、ご両人の間で石田作品をめぐって縦横に議論が交わされた、その様子については「みらいらん」次号(7月刊行予定)にこの対談を収録する予定なので、是非ご覧いただきたい。
(池田康)
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2018年04月23日

変身の驚異

仮面ライダーではないが変身という所作は心が踊る。新聞記者がスーパーマンになったり、お嬢様が夜の女になったり、ピッチャーが四番バッターになったり、しがない工員がダンスチャンピオンになったり、金持ちの男が毒虫になったり、映画やドラマの世界ではさまざまな華麗な変身を見せて観客を驚かせ喜ばせる。フィクションに赴くまでもなく、蛹が蝶になるとか、蕾が花となるとか、水蒸気が雪になるとか、自然界にも無数の変身譚がある。自然と人間の生活が接する面でも数多の変身が遂げられてわれわれの生活を彩っているのであり、楮が紙になる、馬の毛が筆になる、牛の舌が料理の主役になる、オリーブが油になる、海亀の甲羅が櫛になる、鰐の皮が財布になる、水牛の角が印鑑になる、鳥の羽毛が布団になる、狐の毛皮がマフラーになる、土が皿になる、孔雀石が絵具になる……これらも密かな華麗な変身と言えるだろう。こんなことを書いてみたのは、貝からできた釦がごく普通にあることを知ったからで、そう知った上で眺めてみるとなるほどプラスチック製とは艶が違っており、この繊細で高貴な艶の中に海の伝説が隠れていると思うと、小さな釦でも愛しく思えてくる。綿からできたコットン生地に貝の釦がついた服を着ていると一見当り前の恰好なのだが自分もさりげなく変身しているような気がしてくるのだ。
(池田康)
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2018年04月16日

山崎方代の鬼

夏目書房という美術系古書店からたまに販売図録が送られてくる。最近の一冊をぼんやり眺めていたら、山崎方代の短冊があった。筆跡は、こういう人とはあまり親しくお付合いしたくないなあと凡人に思わせるような、粗雑さ乱暴さを伴った無造作なもの。次の歌が書かれていた。

 親子心中の小さき記事を切り貫きて今日の日記をうめておきたい

えぐさに刺されると同時に、山崎方代がこの歌を気に入っていたというのもどこかわかる気がした。親子心中は「哀れ」の最たるものであり、悪くするとこういうこともあるんだよと、この世の残酷のどん底を見せられる思いがするのだ。そしてこの歌を短冊に書くとは、これまた恐ろしい行為で、山崎方代の“鬼”を見る思いがする。
(池田康)
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2018年04月14日

河童

今週はけっこう人と会った。英国在住の南川優子さんが一時帰国しているというので、数人の方と一緒に会って四方山話をしたり(あちらに住む不便さや当惑を楽しそうに話しておられた)、自然科学の研究者の方お二人に会ってそれぞれの研究のことをあれこれお聞きしたり(そのうちのお一方の話は「みらいらん」次号のインタビューの頁で掲載する予定です)、いろんな方向に思わぬ別世界が見えたような気がした。とくに生物学的視点の理論などを聞いていると、当り前のように見えている人間の存在が、生命の広大な可能性の中の偶々のアクシデントのようにも思えてくる。
先日「シェイプ・オブ・ウォーター」という映画を見たが、これは河童映画だった。アメリカの映画人に河童の映画を作られてしまったという残念な思いもあったが、イマジネーションの中の生きものだった河童の具体的な怪しく妖しい姿を見ることができて嬉しい気もした。人類の時代の次は、河童の時代が来るのだろうか……
(池田康)
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2018年04月02日

みらいらん「対話の宴」のイベント

「みらいらん」2号の対話の宴のコーナーのイベントが今月28日に開かれます。野村喜和夫さんと、美術家の石田尚志さんが出演、詩と現代美術の関係などについて議論する予定です。要領は下記の通り。是非御参加下さい。
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洪水企画&エルスール財団共同企画トークイベント
野村喜和夫とアーティストたちA
野村喜和夫×石田尚志
書くこと、描くこと、映すこと

国際的評価も高い抽象アニメーションの第一人者石田尚志氏を迎え、野村喜和夫の朗読に作品を提供したこともある石田氏と、
詩とアートの現在について縦横に語り合います。氏の映像作品上映もあり。

日時:2018年4月28日(土曜日)15:00〜17:00 (14:30開場)
場所:ブックカフェ「エル・スール」(詩とダンスのミュージアム内)(世田谷区羽根木1−5−10)
入場料:2500円(+1drink order)
申し込み方法:メールまたは電話で。
エルスール財団
03−3325−5668
info@elsurfoundation.com
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地図をふくんだ案内はこちら:

(池田康)
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