2018年06月05日

漬物の妙味

先日ある食堂で生姜焼き定食を食べたのだが、さほどおいしいとは思わなかった。これなら家で焼いて食べるほうがずっとうまいだろうとも……。別に珍しい体験というわけではなく、外食して「美味い!」と叫びたくなるようなことは(高級店に行かないということもあるが)滅多にあるものではない。二年に一度あるかないかというところではないか。そもそも味覚における特上の経験は平常の食事のための料理ではなかなか得られないような気もするのだ。果物だと特上に近い味覚体験をもう少し頻繁にさせてもらえる。酒もおそらくうまい物はうまいだろう、私はあまり飲めないから残念だが。案外盲点なのは漬物で、梅干も最近はびっくりするくらいおいしいものがあるし、奈良漬の類もときどき唸るようなものに出くわす。ぬか漬けにした胡瓜や茄子や人参も案外に悪くない(自宅で漬けているわけではありません)。火や調味料を使って人為的に調理するよりも、発酵など自然のプロセスの手を借りて味を作り出してもらうほうが良い結果が生まれると言えるだろうか。言葉の断片をある種のぬかに漬けておけばフレーバー薫じて一篇の詩のごときものが生まれる、という仕掛けもありそうな気がするのだが……これは食文化とちがい方法論が発見も確立もされていないようだ。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 21:33| Comment(0) | 日記