2018年10月09日

珍しくて懐かしい

itotonbo.jpg糸とんぼを見る。最近、自宅近くや駅周辺で糸とんぼを何度かみた。人によってはそんなのは珍しくないと言うかもしれないが、私にとっては子供のころ見て以来数十年ぶりだ。その繊細な姿は昆虫造型の粋。写真をご覧下さい。
モーツァルトを聴く。正直モーツァルトなんて珍しくも何ともないけれど、初めて聴く曲となると別だ。昨夜、NHKFMで或るコンサートの録音を流していて、アカデミッシェ・アンサンブルという室内オーケストラが交響曲第33番K319(初めて聴く、と思った)を演奏するのを聴き、正確な音の動きの中に生ずる溌剌とした喜悦にああモーツァルトだなあと無心に傾聴した。指揮はシュテファン・ドールというホルン奏者で、この作曲家の4曲のホルン協奏曲も演目として聴くことができた。これらは昔カセットテープに入れて繰り返し聴いていた曲。懐かしく、しかしカデンツァは新鮮に聴けた。
漢詩を読む。いま、池澤夏樹著『詩のなぐさめ』『詩のきらめき』(岩波書店、大胆にくつろぐという方針が気持ちのいいエッセイ)を読んでいるが、中国の昔の詩を紹介する章が意外に多く、漢詩独特の響きが懐かしい。中学校で、杜甫や李白や孟浩然なんかを学んだ経験はいまだに強烈で、腹の底であれらの詩句がまだ光を放っているように感じるのだ。さて李賀という詩人の名前はよく聞くが、今回初めて作品を読んだ(と思う)。この人の才能は「鬼才絶」と呼ばれたそうだが、奇想の走り方や修辞の鋭さが他の人と違うのだろう、古今和歌集に対する新古今と同じような、精緻の極みの趣があるか。李白がモーツァルトなら李賀はドビュッシーだろうかなどとも考えた。
漢詩に敏感になったのは、「みらいらん」次号で小特集「異国の詩歌と睦ぶ」を計画しているため。この小特集は、野村喜和夫氏がホストの小誌対談シリーズで今回有働薫さんを迎えてフランス詩を論じていただくことになっているのにちなんでの企画。そして肝心の両氏の公開対談はいまのところ11月17日(土)を予定している。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 18:16| Comment(0) | 日記