2019年06月04日

安藤元雄さんの講演

日曜月曜とかなりハードな日程だった。2日の日曜日には現代詩人会の「詩祭」が市ヶ谷であり、現代詩人賞やH氏賞などの授賞式などが行われるとともに、第二部で安藤元雄さんの講演があり、「みらいらん」次号で『安藤元雄詩集集成』をめぐっての対談(野村喜和夫・福田拓也両氏による)を載せることもあり、聴きに行った。
読み人知らずの「起きて見つ寝て見つ蚊帳の広さかな」「蜻蛉つり今日はどこまで行ったやら」といった句が加賀の千代女に仮託されている、詩歌とはどういう存在なのかという話から入り、ネルヴァルの「シダリーズ」では翻訳の工夫のしどころやいかに意味の重層性やエコーを読み解いていくかといったことが語られ、ボードレールの「あほうどり」においては一般大衆に対して詩人は強者ではなく弱者と化しているという重要な機微が指摘され、シュペルヴィエルの「秘められた海」では詩で結論を出さないことの大事さが教示される。また同級生だったという、先ごろ亡くなった映画監督の降旗康男の仕事に触れて、つねに弱者の側に立てという信念が語られた。詩人の心の烈しさが伝わってくる一時間だった。翌日の月曜日には愛知県で伯母の葬儀があり、気ぜわしく、私としては例外的な早起きをしなければならないこともあり、早々に会場を後にした。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 17:44| Comment(0) | 日記