昨日は午後から上京。
京橋のギャルリー東京ユマニテで加納光於さんの個展「胸壁にて」を観る。これは1980年代に制作発表された連作で、40年ぶりに展示されたとのこと。奔放な色彩の発現と変幻をあじわう。ギャラリーの御主人から加納さんの近況をうかがう。
それから駒込の駒込平和教会で田中庸介さんの朗読会に参加。詩集『ぴんくの砂袋』が詩歌文学館賞を受賞したのを祝っての催し。精気にみちた声で、東京の地名をもりこんだ詩、学者としての活動に関する詩、家族生活から題材をとった詩など、朗読された。詩誌「妃」の執筆者諸氏も多く参集していたようだ。
この会は天童大人氏が主催する「詩人の聲」シリーズの第2084回。天童さんは昨年詩集『ドゴン族の神―アンマに―』を出している(アフリカ紀行が主題となっており、個人的には「Bine・Bine」という詩の静けさが印象的だった)。
新宿の紀伊國屋書店に寄ったら、一階部分も新装開店していて、誰がデザインしたのか、ぐっとファッショナブルな感じになっていた。
今回の上京とは関係ないが、何日か前から読んでいた、ヴァージニア・ウルフ『オーランドー』を読み終えたところ。まったく奇妙な小説、ウルフの作品群の中でも異色作だろう。数百年の時代の変遷を点描するとともに不思議な人格構造論を試みながら、「樫の木」という一篇の詩の創造を軸に繊細な文学論を各所にちりばめている。すべてが集約される最後の十ページほどはとくに魅せられる。
(池田康)
2022年06月17日
加納光於展「胸壁にて」 ほか
posted by 洪水HQ at 12:09| 日記