石川県の大地震、羽田の飛行機事故と、凶事がつづいて陰鬱な年明けだ。
憂さ晴らしというわけでもないが、勝手にベートーヴェン・チクルスと称して彼の交響曲を全部聴いていた。そのきっかけは(もちろん)年末にN響の第九の演奏会(下野竜也指揮)が放送されて、録画したものを正月にもう一度見たことから。N響の第九は一昨年の井上道義指揮のものも記憶に残っている。1番や2番といった初期の曲を聴くのも新鮮で楽しいし、4番とかあまり聴いてない曲だと初めて耳にするようなフレーズにも出会えたりして刺戟がある。このチクルスは元気がもらえる気がする。1番〜8番はマリス・ヤンソンスのベートーヴェン交響曲全集で聴いたのだが、このCDセットには容量の隙間に現代作曲家の小品もいくつか入っていて、邪魔にならないオマケといった感じなのだが、ギア・カンチェリの「Dixi」だけはベートーヴェンなにするものぞといった風に堂々と鳴るのでたまげた。(このカンチェリの曲には前にも触れたかもしれない)
募金箱にいくばくか投じて、しばらくの平穏な日々をあがないたい。無理か……
(池田康)