
対談は詩人の安藤元雄さんと作曲家の野平一郎さんに、十一月某日、古書市の立つ新橋におでましいただき、19世紀から20世紀にかけてのパリの動き、そこで生まれた文学作品や音楽作品について語り合っていただいた。いくら語っても語り尽くせない文化的に豊穣な時代で、どこで切ってまとめるかは恣意的にならざるをえないが、しかし押えるべきポイントはしっかり押えていただいたと思う。1913年という年(ほぼ百年前!)が画期的だったという話は面白く、昨日たまたま近所の本屋で新刊の棚を眺めていたら『1913』というタイトルの本が出ていて符合に驚いた。ヨーロッパのいろんな文化人たちのこの年の動きを追った本のようだ。
インタビューはなんと豪華二本立てで、評論家の呉智英さんと詩人で思想家の篠原資明さんにお話をうかがった。お二人とも詩については辛口に語られ、刺戟は大きいのではないかと思う。思想や美術についてもオリジナルなご意見を端折ることなくたっぷりとお聞きすることができたと思っている。
もう一つご注意いただきたいのが、秋に日本詩人クラブの主催で開かれた、カリブの詩をテーマにした大会を取り上げた記事群で、小生も短いレポートを書いたほか、森山恵さんや谷口ちかえさんに力のこもったエッセイをご寄稿いただき、まとまった紹介ページになった。どうかお見逃しなく。
それから、巻末の「雲遊泥泳」に今号から柴田千晶さんに加わっていただき、俳句の批評を中心に書いていただくことになった。とても読み応えがあるのでこちらも是非ご覧いただきたい。
巻頭詩は、田野倉康一、金井雄二、船越素子、大西美千代、江夏名枝、平井達也の六氏。中川俊郎さんの連載は今回が最終回となる。
そのほかの記事については下記のURLでご確認いただきたい。
(池田康)
追記
定期購読者送付、一般贈呈送付が運送会社の事情で遅延しておりましたが、もう数日で届けられると思います、お待ちいただければ幸いです。
「雲遊泥泳」蝦名さんの文章、いつも楽しみに拝読しているのですが
突然自分の名前が太字で出てきて、心臓が止まるほど驚きました…
「Universe」は虚の筏9号掲載時、幾人もの人に好評だったので今回転載させていただきました。
下記のURLからご覧下さい。
http://www.kozui.net/soranoikada8.pdf