2015年07月15日

REDEMPTION SONG

そのときどきで、熱中して繰り返し頻繁に聴く曲は変わってくるが、今はボブ・マーリーの「REDEMPTION SONG」をよく聴いている(『レジェンド』というベスト盤所収のもの)。素朴なギターの伴奏にのせて、奴隷売買の時代のこと、支配・被支配の関係のこと、自由への自己解放の意志、未来へのヴィジョンの建設を思わせるような文言が歌詞に読み取れ、非常に壮大で包括的な世界観を音楽化しているように聴こえる。そしてこの歌は、レゲエではない。「ではない」と言ってしまうのは問題があるかもしれないが、レゲエの特徴的リズムが感じられない。レゲエ歌手ボブ・マーリーが、レゲエという対外的に強力な甲冑を脱いで、素顔、素の声で、自分の部屋で歌っているような、「原点=到達点」の感じがするのだ。
実はこの曲はスティーヴィー・ワンダーの曲だと思い込んでいた。歌手名の次にくる、所有を表す助詞の「の」は守備範囲が広いから、そう言っても間違いではないかもしれないが。B.マーリーをちゃんと聴き始めたのは去年のことなのに対し、S.ワンダーのほうは昔から聴いていたので、そんな勝手な誤解が訂正されないまま二十年近く続いていたことになる。二人の歌い方は相当に違い、それぞれに良さがあるのだけれど、やはりオリジナルのB.マーリーの素そのもののヴァージョンが最高であると言いたい気がする。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 13:36| Comment(0) | 日記
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