2015年07月17日

合唱っていいな!

gasshoiina.jpg新書判シリーズの〈燈台ライブラリ〉の第2巻として、合唱音楽に焦点をあてた『合唱っていいな! 〜作曲・演奏・指揮をめぐって〜』がこのたび完成したので、速報。
合唱に長年深くかかわっておられる作曲家の新実徳英さんが中心執筆者で、ガイドの解説文をまとめるほか、収録した対談五本すべてに登場して自説を開陳、相手の話を引き出している。対談の相手は、栗山文昭さん(合唱指揮者)、清水敬一さん(合唱指揮者)、松下耕さん(作曲家、指揮者)、寺嶋陸也さん(作曲家、ピアニスト、指揮者)、和合亮一さん(詩人)の五人の方々。ご協力ありがとうございました。というわけで、著者はひとりではなく、複数の視点が絡み合っているので、合唱音楽の魅力について複合的・重層的な、あるいは基本的、あるいは意外で個性的な、多くの洞察、指摘、示唆が語られることになった。このことが本書の最大の特長となっていると言える。解説の部分は「合唱音楽の魅力を考える」「音楽の要素を考える」「合唱音楽の名作を選ぶ」の三部にわけて、それぞれ細かい項目を、新実さん独特の易しい筆致で明解に語り尽くしてもらっている。
対談から、サワリの部分を少々引用紹介したい。
「みんなでうたうということは、なんなのか。一人で歌うのと圧倒的に違うのは、かりにユニゾンであっても、みんなで歌うと、時間と場所を完全に共有するんですね。ですからその一つの世界の中に、入り方はそれぞれ違うんだけれど、みんなで声を合わせて一つの歌をうたうというときに、一緒になにかやっている、一つの世界を共有している、横の繋がり、そういうものを強く感じると思うんです。」(新実徳英)
「コーラスという言葉はラテン語では「人の集まり」という意味です。「コールス」は「列」とか「人の集まり」という意味になる。集まる。人は一人では生きていけないので、当然何人か集団が構成されるわけで、それ自体がコーラスなんです。歌わなくても。だとすれば、一人ではなく、二人、三人といれば空気が変わっていく。そこでしゃべる、祈る──歌声が自然に生まれてくる。作ったものではないと思うんですね、合唱自体が。」(栗山文昭)
「同じ言葉を大勢の人間が唱えているという状況に合唱はなっているわけですが、こういう行為は人間の文化としては昔はもっと多かったのではないか。キリスト教なら日曜日ごとに教会で賛美歌を歌ったりする機会があったと思う。いま、一斉に共通の言葉を口にする機会があまりないんですよね。電子メディアはあっという間につながるんだけれども、コミュニケーションが薄いですよね。それと対照的な形で、生身の人間が同時に声を出す集団というのはこの現代ではちょっと珍しいと思います。(中略)現代の技術革新には抗えないと思うんですけど、ネットでのコミュニケーションに取り込まれていながら別のチャンネルを開くのに、合唱というこの古いメディアはものすごくいいメディアだなと思うんです。」(清水敬一)
合唱に興味ある方はぜひご覧いただきたい。値段は本体1300円+税。
明日18日、松原混声合唱団の演奏会(東京オペラシティコンサートホール、18時開演)で、ホールにおいてお披露目の販売をします。銀座の山野楽器でも近く店頭に出る予定。そのほか全国の書店から、あるいは直接洪水企画までご注文下さい。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 14:14| Comment(0) | 日記
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