2015年08月02日

詩の筏9 國峰照子さんを迎えて

IMG_4855.JPG7月31日夜、池袋芸術劇場ミーティングルーム1で、國峰照子さんを迎えて「詩の筏」研究会第9回を開催した。
参加者は、國峰さんの他、「ユルトラ・バルズ」同人の有働薫、中本道代の両氏、「gui」同人の奥成繁、四釜裕子、冨上芳秀、岩田和彦の四氏、加えて鈴木東海子、結城文、平井達也の三氏、そして小生の11名。
前半は「馬」をテーマにした詩作品を提出してもらい(六作、作者名無記)、皆で読むという形で進めた。國峰さんは馬が大好きで、馬を眺めるためにかつて北海道に移り住んだことがあるのだ。第一の興味のポイントは、詩観尖鋭な國峰さんが各詩をどうつかむかということ。それぞれ特色と魅力のある作品が紹介されたが、國峰さんの結論としては、馬の詩は「馬」をタイトルとした一行詩「軍港を内臓してゐる。」(北川冬彦)がダントツであり、その評価は変わらないようで、これは國峰さんの詩観を端的に示していた。ほかに馬の名詩として、吉岡実の「苦力」、シュペルヴィエルの「動作」が話題に出された。
後半は國峰さんの評論『『二十歳のエチュード』の光と影のもとに〜橋本一明をめぐって〜』(洪水企画、群馬県文学賞受賞)についていろいろお話をうかがうという企画で、私が聞き手になり、原口統三の思想とか、ランボーのこと、橋本一明のことなどについてお尋ねした。質問の並べ方に拙い部分もあったが、率直で棘をひめた苛烈なお話をたっぷりうかがうことができた。自ら死ぬということに対してさほど否定的でもないそのお話ぶりには常識に惑わされない独自の考えがあることを感じさせて、聴衆としては驚きも大きかった。また、自分の生きる同じ空の下に優れた詩人がいるということだけで満足、幸せな気持ちになれるという言葉には打たれた。
暑くて熱中症になりそうと言いながら、お元気そうに煙草をふかしている國峰さんの不覊のお姿(会の前のカフェ屋外席での打ち合わせのとき)には夏の暑さを吹き飛ばす頼もしさを覚えた。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 16:39| Comment(0) | 日記
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