昨日、都心で用事を済ませた後、夜、昔ながらのという表現が当てはまりそうな蒲田の映画館で「駆込み女と駆出し男」を観た。原田眞人監督はわりと贔屓で。江戸時代末期の、東慶寺を舞台にした物語。独特のリズムがいい。演ずる側(cast)のことも語らなければならないのだろうが、撮る側面から言えば、台本執筆(骨)、撮影(眼)、編集(想)という各段階があり、そのそれぞれが多少とも意識的に踏み込んだ“仕事”をしていれば、その作品だけの面白い律と彩が生れてくるのだろう。特に今回は原作=井上ひさしの文筆の血も入ってきているから、その分より強力になっているのかもしれない。映像の舞踏のリズムに酔った。
(池田康)