昨日、「詩の筏11」として、野田新五詩集『月虹』の批評会を東京芸術劇場(池袋)の会議室で行った。野田さんの希望もあり、また部屋のサイズの都合で収容人数が限られていることから、非公開とし、野田さんの知己の限られた範囲での案内となった。参加者はこの詩集の書評を書いた吉田義昭さん、沢聖子さんなど8名。
まず野田さんがこの遅蒔きながらの第一詩集の生まれた経緯を語り、次に参加者各人が総評的感想を披露して好きな作品・評価する作品をいくつか挙げ、そのあと詩集に並んでいる順に作品を論じていくという流れ。この会のために再読し、更に会の進行の中でもう一度読むことによって、各作品の性格と魅力がよくわかり、新たに見えてくることもあった。また読み手によって目の付けどころがいろいろ違っているのも面白い。自分から分離するもう一人の自分をうまく機能させているとか、野田さん独特の万物を友としてしまうような優しさとか、静かなはかなさへと向かう美学とか、意外にフィクショナルな細部の上手さとか、これも意外や女性を描く巧みさとか(この登場人物の女の子になりたい!という声が女性陣から多くあった)、興味深い指摘も数々あり、退屈を一瞬たりとも許さない有意義な会となった。
この日、西口公園では全国各地の群舞と食のお祭りが異様ににぎわしく、また東京芸術劇場の同じフロアでは「ホロコースト展」も開催されていて、日取と場所の奇遇の雰囲気が感じられた。
(池田康)
2015年10月11日
詩の筏11 野田新五詩集『月虹』をめぐって
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