蝦名泰洋・野樹かずみのお二人の短歌両吟の第5集『夕焼けを見る装置』が昨年作られた。疲れたとか冊子をこしらえるのは大変とか言いながら、営々と続くものだ。以下はささやかな抄。
少年たち学校の廊下を走り抜けて戦争に行き帰ってこない かずみ
食卓をかこむ家族も日が射せばいつか化石となるひかりの子 泰洋
見わたせば階段ばっかり階段から落ちてこわれた大人ばっかり かずみ
世界中のだれもがわすれているようなちいさなことをおぼえている子 泰洋
以上は第一部「first of May」より。
戦場と言われて着いた平原で夕焼けを見る装置になった 泰洋
空に星、地上に有刺鉄線の棘が光っているぼくの村 かずみ
遺失した無人探索機を捜せ無人探索機その2で 泰洋
幾億の嘆きの遺跡をめぐっている東京メトロもトトロのバスも かずみ
以上は第二部「夕焼けを見る装置」より。「戦場と」と「空に星」、「遺失した」と「幾億の」はそれぞれ隣り合ってつづく二首。
秀詠をよろこびたい。
定価1000円、申込み:kazumi_nogi@hotmail.com(野樹)
(池田康)
2016年01月06日
夕焼けを見る装置
posted by 洪水HQ at 12:17| Comment(0)
| 日記
この記事へのコメント
コメントを書く