2016年06月07日

菅井敏文詩集『コラージュ』

コラージュ表紙画像.jpg菅井敏文さんの第二詩集『コラージュ』が洪水企画から出た。詩集にもいろいろあり、狭くテーマを絞って作品世界を構築するもの、全体に物語的な流れが感じられるもの、詩型・スタイルが意図して統一されているもの、生活の中で自然に生まれてきた私小説的抒情詩を素直に編んだもの、等々、多様な行き方が考えられるが、この詩集はタイトル「コラージュ」からも推測される通り、前衛的なつくりの作品からシンプルな述懐の詩まで幅広い形の詩をあえて意識的に一つの場に集合させている。帯に引用した「カンパネラ」は、菅井さんが拙事務所へ打ち合わせに来られた折、吉岡実のことが話題にのぼったので、吉岡詩になんとなく近そうなものを選んで載せたのだが、その最後の部分はこうだ。

 魔方陣
 羽をむしられた蝶が
 仏像からころがり出る
 急いで
 カンパネラ
 円盤を暗闇のカーテンが
 包んで
 空を
 食人植物が支配する

他方、読めば誰でも親しめそうなものとしては、たとえば「壺」「わたしとは何者であるか」などが秀作として挙げられるだろう。死を前にしての粛然とした気分を巧みにつかまえる前者の最終連はこうなっている。

 人生を壺に納める
 納めきれなくても納めて
 人生の決着をそこでつける
 死は生きている人の死となる
 それぞれのやり方で
 それぞれの思いで
 人は死に向かって
 死を置いて
 歩き始める

この大コラージュ画全体のトーンと力動をぜひ味わって頂きたい。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 21:26| Comment(0) | 日記
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