2016年07月08日

洪水18号

kz18hyoshi.jpg「洪水」18号が完成した。今回の特集は「音楽劇 オペラ 歌物語」。インタビューは4人の方に試みている。作曲家でオペラシアターこんにゃく座の代表兼音楽監督の萩京子さんにはこんにゃく座の歴史と活動のお話をしていただき、昨年大著『オペラの20世紀』(平凡社)を刊行された音楽学者の長木誠司さんには現代オペラの流れの概略を説明していただき、フランスオペラに詳しい詩人でフランス文学研究の安藤元雄さんにはオッフェンバックとボードレールのこと、マスネやビゼーのことなどについてうかがい、長く「短歌絶叫コンサート」を続けておられる歌人の福島泰樹さんにはこのコンサートや執筆創作全般のことをお尋ねし、といった具合で、それぞれ非常に興味深いお話を聴くことができた。安藤さんと福島さんはインタビュー原稿を入念に書き直して下さり、締切をかなり過ぎてひやひやしたが、綻びのないすばらしいまとまりの記事原稿となり、ありがたいことだった。嶋岡晨さんには前号に引き続いてシナリオ詩をいただいた。今回は「カルメン変容」。エッセイは森山恵さんの連載「オペラでシェイクスピア!」第2回を特集に編入した他、詩人を中心に十人ほどの方々にご執筆いただいた。おおよそ、総論、合唱、シェイクスピア、フランスオペラ、日本、といったかんじで並べてみたがいかがだろうか。國峰照子・竹田朔歩両氏の詩は、スペースがあいたので、それぞれの既刊の詩集から転載させてもらったのだが、案外これらのページがこの特集でもっとも強烈な輝きを放つ部分になっているかもしれない。小生のまとめのエッセイは、近現代を「欲望」と「自由」から考え、現代オペラとアングラ劇をつなげる論考となった。
ほかに、平川綾真智さんがシュルレアリスムと音楽の関係を考える論考の連載が始まる。これは以前「エウメニデス」(小島きみ子さん編集発行の詩誌)で発表されたものの続編にあたる。さらに短歌の加藤英彦さんが十五首詠「水の素描」で参加して下さっているのと、南原充士さんが「雲遊泥泳」で若い世代の詩人を論ずるコーナーを開始(今号は「望月遊馬篇」)したのが新しい。井上郷子さんの批評連載、今回は作曲家の田中聰さんを取り上げている。さらに神品芳夫さんによる南原充士論にもご注目いただきたい。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 15:50| Comment(0) | 日記
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