2016年10月22日

スラブ的哀愁をうたう

昨夕は新宿・紀伊國屋ホールで石橋幸コンサート「僕の呼ぶ声」を聴く。山本萠さんのご案内にて。ロシアの歌を専門にうたう歌手。スラブの哀愁が深いナンバーの数々。第一部「孤独」は芝居仕立てで9曲が切れ目なしに演奏された。第二部は伴奏のメンバーの意見も取り入れての選曲で、ヴァラエティがあった。力強く、艶を帯び、的確に形を描き出す、表現力のある歌声。コンサートのサブタイトルにも「ロシア・アウトカーストの唄たち」とあるが、ここまで重い悲哀を引き寄せ集めるのはどうしたことだろうか。虚無の小塊を裡にもつ人ともたない人の二種類あるとすれば、この歌手は前者なのかもしれない(と我が空想は勝手に走り出す)、そしておそらくその虚無はドーナツ型をしていて、その空洞ドーナツのなかで悲歌は堂々巡りをしているのではなかろうか……これはあくまで妄想。しかしプログラム最後の数曲は明るく楽しい雰囲気もあった。
音響がとてもよかった。ホールの設備が優れているのか、今回の音響バランス調節が絶妙だったのかはわからないが、ヴォーカルの音声も割れたり歪んだりせず、バックの各楽器も一音一音繊細に聞こえ、とても気持ちがよかった。ホールがほどよく狭いこともあるだろうが、PAを使ったコンサートでここまで理想的な音の響きになっていることはめったにない。バックの演奏がスリリングで一番楽しめたのは「ロシア平原」。メンバーは河崎純(コントラバス)、後藤ミホコ(アコーディオン)、小沢アキ(ギター)、石塚俊明(ドラム)。あれ、河崎さん、いたんだ。挨拶しておけばよかった。なんて今頃言っている迂闊さ、救いがたい。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 18:43| Comment(0) | 日記
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