2016年10月25日

西岡光秋さん

昨夕は上野の東京文化会館小ホールでひらかれた「新作歌曲の夕べ2016」を聴いた。吉田義昭さんのご案内にて。吉田さんの詩による「花水木の手紙」を含めて23曲が演奏された。「落葉松」など古い曲もあったが大方は新作ということだろうか。前衛的な大胆さではっとさせられる曲、芝居気にみちた曲、シンプルな抒情に徹した曲、といったふうにいろいろ方向性に変化があって楽しめた。
「無花果」は西岡光秋氏の遺作と書いてあり、今年8月に急逝された由が記されていて、まったく知らなかったので驚いた。洪水誌に詩作品をご寄稿いただいたこともあった。哀悼の意をこめて「無花果」の一部を書き写しておきたいと思う。

 父は遠い雲になった
 町から遥かな山里で
 父は形のない魂になった
 住みなれた小さなわが家のうえから
 ふんわり覆う霞となった


 父よ覚えていますか

 可愛川の流れに近い裏庭に
 あなたが植えた小さないちじく
 いつの間にかぼくの太股ほどの太さになり
 緑の果実をいっぱいくっつけ
 あなたを喜ばせた
 明るかったあの季節のことを
 (後略)

(池田康)
posted by 洪水HQ at 20:09| Comment(0) | 日記
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