2017年02月17日

さらに、小説の話

作曲家の新実徳英さんに教えられて読み始めたのは、4年前に亡くなった連城三紀彦。新実さんとは同級生かそれに近い関係だとか。匠の技の隙のない緻密な組み立てという点では二人は似ているが、とくに戦前や大正時代を舞台とした『戻り川心中』(光文社文庫)の諸作に顕著な頽廃の毒は、どちらかというと健康的な新実さんにはない要素だろう。現代物も心の病みの相が鋭く析出されて怖気をおぼえる。この世界は大好きではないかもと思いながら読み継いでしまうのはなんなのだろうか。
ロバート・A・ハインラインはラジオで紹介されていたのを聞いて読み始めた。長編小説は優れたストーリーテラーの練達の手並みを示すが、短編は素っ頓狂な発想の形而上学性に驚かされる。意想外の刺戟がかならずある作家。
というわけでここのところは『小さな異邦人』(連城、文春文庫)、『輪廻の蛇』(ハインライン、ハヤカワ文庫)の収録作を読んだりしている。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 12:58| Comment(0) | 日記
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