2017年11月13日

音の劇場をさまよう ...gray sound storm...

この秋公開の「ブレードランナー2049」は劇場で観るのがよい。音楽・音響の凄まじさ、はるか遠くから包み込んで身体の全細胞を襲い酸性雨のようにグレーの音を染み込ませてくる猛威を体感するにはスクリーンの前に行くしかない。DVDでは無理だろう。この映画作品でなにが一番「仕事をしている」かというと、脚本や美術と並んで音楽・音響なのではないかとさえ思う。たしかに主人公Kは“悪い冗談”に弄ばれいくつもの試練をくぐるし、老デッカードは殴られたり爆発に吹き飛ばされたり水に沈んだりの憂き目をけなげに耐えているが、巨大な盤上の小さな駒のように見える。日常では味わえない音響の渦に飲み込まれる2時間40分は聴覚的にすごぶる濃く、大空間を構築する一種シアターピース的な音楽作品として「聴く」ことができるのではないか。SF小説やSF映画があるようにSF音楽というものもありうるのだろうか。最近は音で攻めてくる映画が多いような気もするのだが、音楽や音がここまでフィクションの天地をつくるなら、今後、ワーグナーのように、音楽家が主導的立場に立って映画作品を制作するということもあるのかもしれない。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 21:41| Comment(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: