2018年05月22日

日常の延長を歩く

カンヌで栄誉を授かった是枝裕和監督の新作が近く公開されるのも楽しみだし、大林宣彦・山田洋次といった大ベテラン監督の近作・新作も拝見したいと思うのだが、最近DVDを借りて観ていたのは、もう一回りか二回り若い世代の作品だった。とあるきっかけで「天然コケッコー」(前から気にはなっていた)を観て、激することなく小さな世界を落ち着いてまとめ上げる手腕と審美感に興味を覚え、この山下敦弘という監督の作品をもう一つ知っておこうと、「リンダ リンダ リンダ」も観た。どちらかというと低いテンションの中にせり上がってくる学生生活というわけのわからないものの倦怠感&寂しさのリアリティ、意味ないと言いながらなぜか一生懸命やるニヒリスティックさを帯びた情熱がこの作品のユニークさを作っていて印象深い。主人公の女の子たちは日常の延長を歩いており、出てくる男の子たちも大きくはじけることはない。日韓の人間が交わるという点では共通する同じ2005年公開の「パッチギ!」がとても熱いのに対し、「リンダ リンダ リンダ」はどこか日常という生活地盤と調和する堅く醒めた感じを保っていた。ただし音楽は、練習風景も含めて、熱い。コード進行というものの意義や効果もよく感じさせてくれるところも嬉しいことだった。
(池田康)

追記
「苦役列車」「もらとりあむタマ子」も観る。山下監督は映画界のアンチロマンの旗手だろうか、やさぐれと鬱屈、主要登場人物それぞれの生の底をさまよう陰の質感がじんわりと訴えてくる。
posted by 洪水HQ at 13:20| Comment(0) | 日記
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