2018年09月29日

秋の楽しみを見つける

秋には秋の食べ物が出てくる。果物では梨がその一つだが、この秋は豊水という種類の梨をよく食べている。幸水が直線的な味わいなのに対して豊水はふくらみをもった甘さがあるような気がする。どれだけ食べても味の芯に当たらないようなすれ違う感じがするのも梨のほのかな虚無主義のようで面白く、この果物の名前(ひっくり返して有りの実ともいう)にも相応している。
風呂。夏にはシャワーで十分という感じだったが、秋はむしろ風呂に浸かるといい。シャワーは水の音が邪魔で外の音が聞こえないのが惜しい。風呂の湯に浸かりながら秋の虫のすだきをじっと聴いているのは格別の風流なのだ。え?うちでは虫の音なんて聞こえない? それはあなたの居住地域の是非を真剣に考え直してみるほうがいい。秋風呂にコオロギ。
読書の秋、という標語はおそらく万年下位のプロ野球チームのファンが作ったのだろう。彼らは秋になると独特の悟りをひらくのであり、あらゆるそわそわを克服した明鏡止水の落ち着きで頁の上の無愛想な文字と向き合えるのだ。実際、夏には目を逸らしたくなるような重厚な本も、秋になるとなんとなく取り組めるような気がしてくるものだ。優勝チームのファンが無邪気に浮かれている間に、小難しい本を一冊読む、これが秋の最善の過ごし方だ。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 12:49| Comment(0) | 日記
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