2019年02月25日

オペラ 紫苑物語

先週土曜日に新国立劇場でオペラ「紫苑物語」を観劇した。作曲・西村朗、台本・佐々木幹郎、原作・石川淳。詳しくは別の場所に書きたいと思うが、一言だけ。石川淳の原作、鏤骨の文章でこの荒唐無稽の伝奇物語を立派な小説に仕立てていて、魔術師!と感嘆するのだが、今回のオペラ作品も独自の発想を打ち出しながら各シーン音楽的にも演出・美術の面でも磨き上げられており、魅せられる。歌を捨て弓の武を追い求める主人公の宗頼をはじめとして、伝統的歌道墨守の父親、アンチヒューマンの殺意の弓麻呂、裸形の欲望のうつろ姫、算木をもちいて謀をたくらむ藤内、精霊の妖気の千草、仏界を顕現させようとする平太と、人物像が際立っていてその衝突がドラマに鋭い輪郭を与えている。原作とおおいに違っているのはうつろ姫の扱いで、原作では醜が強調された不気味な闇の存在だったのが、このオペラ作品では気性獰猛な美姫として前面に出てきていて、オペラ的でもあるし、直裁な欲望の噴出が現代にもつながっているように感じられた。原作のうつろ姫だと歌手は演りづらいだろう。演出・笈田ヨシ。大野和士指揮、東京都交響楽団、新国立劇場合唱団。キャストは高田智宏(バリトン)ほか。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 19:06| Comment(0) | 日記
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