映画「トイ・ストーリー4」を見る。戦慄。ヤバい人形たちの登場に、同情や痛みを通り越して恐怖を覚える。使い捨ての先割れスプーンからだだくさな工作で生まれたフォーキーは自分がちゃんとした人形ではなく所詮ゴミだと思い込み、何度もゴミ箱の中に「投身自殺」する、とんでもないキャラクター(cheapest toy with deepest anguish)。お嬢さん人形のギャビー・ギャビーはおしゃべり機能が壊れていて、この故障ゆえに自分は子供たちに可愛がってもらえる人形ではなくジャンク品なのだと劣等感にさいなまれ、主人公ウッディのおしゃべり機能を暴力団よろしく強奪しようとする鬼ぶり。しかし不思議にも一番同情を集める憂いのヒロインは彼女だ。フォーキーもギャビー・ギャビーもアイデンティティに飢え、合格/失格あるいは美品/ガラクタの境界に危うく立っていまにも自分の存在に絶望しようとする人形たちで、その揺れ動く不安さが観る者の心に鋭く突き刺さってくる。そして彼らを助けるウッディも秩序を守ろうとする「よい子」から保安官のバッジを外していたずらをしでかす「やばい子」に変身してしまう? ピクサーの脚本チームはあなどれない冒険者たちだった。
(池田康)
2019年08月04日
トイ・ストーリー4の無邪気ではない遊び
posted by 洪水HQ at 18:02| Comment(0)
| 日記
この記事へのコメント
コメントを書く