2019年08月26日

菅井敏文詩集『コラージュ II』

collage2.jpg菅井敏文さんの新詩集『コラージュ II』が洪水企画から刊行された。A5判96ページ、1800円+税。前作『コラージュ』(2016)の続編という位置付けであり、詩誌「詩素」に発表されたものを中心に前衛的手法の詩から身辺を語るような詩まで様々なタイプの詩作品37篇が収録されている。この集合体を「コラージュ」と題しているところが肝のようで、一篇一篇の詩作品の表現もさることながら、それら詩表現の多様性をバランスさせ掛け合わせる中で世界をつかまえようとするところに菅井氏の観法としての詩の探求があるように思われる。そういうこともあり、帯には「純粋な詩的奇想と実生活の中から生まれる抒情とが出会う場所〈コラージュ〉、この混沌のマーケットの雑踏のどこかにこの世のすべてを美しくバランスさせる一点がきっと存在する。」という紹介文を載せた。私個人としては最後に収録されている「セールス」がもっとも深く印象に残る作品なのだが、長いので、ここでは「P」という詩を引用紹介する。

 Pドールは踊れない
 踊らない
 眠れない
 眠らない
 濁った眼で
 固くこぶしを握り
 取り戻せない夢を見ている

 Pドールは戦えない
 戦わない
 進めない
 進まない
 雲の小部屋に住んでいる
 見えない自意識を
 放り出せないでいる

 Pドールは考えられない
 考えない
 笑えない
 笑わない
 石を積み上げて
 その上に小便をしている

 Pドールは逃げられない
 逃げない
 求められない
 求めない
 あいまいな表情をして
 まだらな記憶をフラッシュバックさせる

 Pドールは応えられない
 応えない
 動けない
 動かない
 白いブドウを口に放り込み
 ルサンチマンに蓋をする

(池田康)
posted by 洪水HQ at 13:02| Comment(0) | 日記
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