2024年12月24日

みらいらん15号

みらいらん15号画像S.jpgみらいらん15号が完成した。164ページ。
特集は「批評に灯る詩 ──小林秀雄を基点として」。
きっかけから話せば、岡本勝人さんの近著『海への巡礼』で小林秀雄がたびたび言及され呼び出されているのに触発され、そういえば自分も若い頃小林秀雄を熱心に読んだなあと思い出し、文学的恩義も愛着もあるので、今回小林を中心とする批評の特集を組んでみることにした。神山・岡本両氏の対談が、岡本氏の仕込みの綿密さもあり、ことのほか長くなり慌てたが、せっかくなので削るのは最小限にしてなるべく多くの部分を収録することにした。自分でも死蔵していた全集各巻を探し出してめくってみる、読み返す、考え直す、そんな作業も重ねて地味に大変ではあったが、特集に熱量を持たせるには必要だったと思う。批評家・小林秀雄とはいかなる文学的事件だったのか、批評という文学形式にいかに詩は要請されるか、近代から現代にかけて批評は文学・芸術とどう格闘し、そして戦争とどう対峙したか。批評を考えることはあらゆる創造の意味を問うことにつながる。神山睦美・岡本勝人両氏の対談「小林秀雄と戦争」を中心に、富岡幸一郎、添田馨、愛敬浩一、高野尭の四氏のエッセイ、望月苑巳氏の映画「ゆきてかへらぬ」レビューで構成。神山氏主催の書評研究会の8月29日の回(神山睦美著『奴隷の抒情』が対象)のダイジェストも掲載した。
インタビュー〈創造のキセキ〉では画家の井上直さんにお話をうかがった。『玉井國太郎詩集』を井上さんの絵が飾ったことを縁として。
巻頭は田口犬男、高田太郎、北爪満喜、山崎広光、久野雅幸、菊井崇史の六名の方々。
それから谷川俊太郎さんの追悼文を作曲家の新実徳英さんにご寄稿いただいた。逝去の報道があったその日にコンサート会場でお会いして、書いていただくことになり、次の日に原稿が送られてきたという、大車輪のご執筆には感謝あるのみだ。
また〈海外文学〉のページを新設し、八木寧子さんにご担当いただくこととなった。八木さんには前号の高岡修さんの特集で座談会の舞台裏とも言うべき記事を執筆していただき、そこからのつながりで。
表紙のオブジェは、國峰照子作「Dodo鳥」。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 11:17| 日記