2025年04月27日

最近の音楽生活

春になってベランダの百合が芽を出し背を伸ばし始めたとか、夏目漱石の晩年のエッセイや小説をぼつぼつ読んでいるとか、先週「みらいらん」次号の最重要の取材を行ったとか(これについては後日改めて)、詳しく報告してもいいことはいくつかあるにはあるが、今回は最近の音楽生活について。といってもコンサートに行くのは何かと大変なので、すべてテレビ・ラジオ・CD・DVDでの視聴になる。
お馴染みの曲でも演奏の仕方によってとても新鮮に聞こえる時がある。最近ではN響がやったムソルグスキーの「展覧会の絵」やメトロポリタン歌劇場によるビゼー「カルメン」上演が思いのほか楽しく刺激的に聴くことができた。細かい部分で創意工夫があるのだろう。未知の曲では、ユジャ・ワン、ヴィキンガー・オラフソンのピアノ連弾による「ハレルヤ・ジャンクション」(ジョン・アダムズ作曲)はスリリングだった(NHKEテレ3月16日)。それとワーグナーの「ニーベルングの指環」(バイロイト1991-2)をDVDにて視聴、これも心身を揺るがす経験であった。
それから、これはCDだが、チェリストのマリオ・ブルネロによるバッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ&パルティータを繰り返し聴く。チェロ・ピッコロという小型の楽器で弾いているようだが、よくこの曲をチェロで弾こうと挑戦するもの、そしてここまで弾きこなす神技。複数の弦を同時に鳴らす重音の響きがことに心地良い。ヴァイオリンでは不可能な豊かな低音の広がりがありがたい。この演奏の存在を知ったのはラジオだったかテレビだったか、記憶がおぼろ。ブルネロはもちろん無伴奏チェロ組曲も録音しており、この両方の無伴奏曲を一人で演奏するのは画期的で、おそらく彼が最初(で最後?)か。
それから、「みらいらん」13号のラヴェルを論じた文章で、この作曲家のピアノ曲を聴くのに手に取りやすいのはいまだにサンソン・フランソワなのだろうかと書いたが、最近都心のタワーレコードを訪れたら、若い世代のピアニストが続々ラヴェルのピアノ曲全集を出していることを知った。4種類ほどあるうちから、務川慧悟とベルトラン・シャマユというピアニストのCD(2枚組)を入手、比べながら聴いてみている。どちらも優れた演奏技術を駆使しての演奏だが、務川版の方が表情の付け方という点で説得力があり受けとめやすい、聴きやすいような気がした。シャマユは、やや速いテンポが自分のピアノ演奏のダンスには合うと語っているから、そのしなやかな運動性に沿って聴くべきなのだろう。とにかくラヴェルのピアノ曲に関しては当分の間文句をつぶやくこともなく楽しめそうだ。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 08:42| 日記