2025年12月13日

四人組とその仲間たち2025

昨夜、東京文化会館小ホールで「四人組とその仲間たち2025」コンサートを聴いた。演奏中に地震来襲というドッキリもあった。
一曲目、金子仁美作曲「ビーム〜3Dモデルによる音楽XVII」はパーカッショニストの独奏曲(藤本隆文)。数種類の打楽器を交互に演奏する。難しそうだなと思ったのは、導入部の太鼓の連打で、かなり平板な反復なので有意味な音楽に仕上げるのは困難がありそう。中盤から終盤にかけては華やかな展開があって張り合いを感じた。
二曲目、新実徳英作曲「神の木」、これは尺八(黒田鈴尊)とチェロ(山澤慧)のデュオ。尺八が西洋音楽の秩序に入っていくのは面白くないから、チェロが尺八の世界に入っていくことになるのだろう、そのセッションのぶつかり合いが聴きどころとなる。クラシック秩序から外れると言っても、ジャズ風かといえばそういう雰囲気でもないのだが、絡み合い方の自在さという点では近いものがあるかもしれない。ジャズといえばウッドベースやジャズヴァイオリンは常連だがチェロは聴いたことがない。そういう意味では尺八とコントラバスという組み合わせも良さそうに思うのだが、今回のチェロ奏者、山澤慧氏は故・西村朗の遺作のチェロ独奏曲の奏者だったという経緯ゆえチェロは絶対に外せなかったのだろう。九章が連なる変化の妙が木の生命を感じさせる。
三曲目、西村朗作曲「カヤール」はフルート(木ノ脇道元)とピアノ(篠田昌伸)の曲。カヤールとは北インドの旋律的な歌曲の呼び名とのこと。フルートはずっと低音域で動いていて、これならアルトフルートを使う方がいいのでは?と思いながら聴いていたが、作曲者が「官能的な愛の喜悦の曲」と語る通り最後は高音域に入っていって盛り上げた。ピアノも反復のスタイルで面白い音の動きをしていた。
四曲目、酒井健治作曲「ピアノ・ソナタ第1番〈クィンタ・エッセンチア〉」ピアノ=大倉卓也。技巧的な部分もあったが、基本的にはシンプルな音の組成でオリジナリティを構築しようという試みのように思われた。
五曲目、池辺晋一郎作曲「バイヴァランスXIX」、2本のユーフォニアムで奏される(外囿祥一郎、川内愛)。この楽器はオーケストラに入ることがあるのだろうか、主にブラスバンドで活躍する印象がある。縁の下の力持ちであり、ソロでの演奏は想定されてないように思われるのだが、そこをあえて取り上げるのがこの作曲家のイタズラ心だろうか。楽器の性格から精妙なアンサンブルにはなりづらいのだが、もったりとした音の重なり合いが珍しさを帯びた音風景をなしていた。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 12:34| 日記