2009年10月10日
新宿PIT-INNで魂の道行を聴く
昨日(10月9日)、新宿PIT-INNで沖至(トランペット)、井野信義(ベース)、白石かずこ(詩朗読)、大野慶人(ダンス)といった方々によるリサイタルがあった。会場いっぱいの聴衆。東京の中心のジャズの著名ホールはさすがに、空間の広がり方の感じがいい。ここが檜舞台だという雰囲気がある。前半では「コルトレーンに捧げる」が聴けたのが幸運だった。CDでは聴いていたが、ライブで聴いたのは初めて。会場の壁に大きなコルトレーンの顔写真が張ってあり(ヒシヌマさんに教えてもらう)、それと対話をするようだった。後半は大野慶人さん登場、まず「浮遊する母、都市」を読み、それからメドレーのように引き続き新作「「今から函館にかえる」と大野一雄は言う」を読む。(この連続性が後半の重量感をいっそう増すことになる)大野一雄氏の苦痛にみちた戦争体験もとりこみ、時空を行きつ戻りつ、魂の彷徨と故郷への帰還を描き出す。白ずくめの大野慶人氏は黒い衣装の人形を片手で操り微細に分節された所作で踊る。音楽は幽明の境を漂うように鳴っていた。特別にメモリアルな舞台を感じた。演奏のあとの拍手は滅多に聴かれないような熱烈なもので、拍手にもしびれる。なお、今回の新作は現代詩手帖にいずれ発表されるとのことである。(池田康)
posted by 洪水HQ at 18:39| Comment(0)
| 日記
この記事へのコメント
コメントを書く