2010年05月16日

夜、外が寒くなる

古書店で買った岩波文庫の『プーシキン詩集』金子幸彦訳(81年の第17刷)は今ではかなり紙が茶色くて、まるいように見える黒い文字をウネウネトロトロと波打って読んでいくと吹雪の中で「魔物はさらにとびはねる。/やみに二つの目がもえる。/馬どもはまたはしり出す。/鈴がじんじんじんと鳴る。/見ると白い原のまんなかに/物の怪(け)どもが集まっている。」不気味なモノノケが多い、飛ぶという「魔物」という題名の、詩。この本の日本語の詩は(明朝体の種類も)ウネウネと舞う水中のタオルのようなウミウシ泳ぐ、であった「そのとき心はめざめた。/ふたたび君が現われた/つかのまのまぼろしのように/きよらかな美の精霊のように。」(「アンナ・ケルンに」)幻のリズムゆっくりゆっくりと体操するだろう雪の上で柔らかい筋肉を動かす(いつまでも長く)。「あらし」の詩では「霧のうずまくあらしの海の/波うちぎわの巌(いわお)の上に/白衣の乙女がひとりたたずむ。」夜、暖かい室内で読むと外が寒くなる(小笠原鳥類)
posted by 洪水HQ at 22:32| Comment(0) | 来信
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