2011年05月29日

深澤紗織詩集『世界は点滅するモザイク模様のように』

写真.JPG深澤紗織さんが第一詩集を洪水企画から出した。『世界は点滅するモザイク模様のように』(1300円+税)。A5判56ページの薄い本である。詩集を出そうと決めてから一年以上かかって、やっと誕生したわけで、その間の進行状況を、たまに会っては聞いていたが、私は書くのが遅いのでという言葉通り、なかなか自分に納得できる作品が揃わず、完成予定が何回か先延ばしにされ、ようやくという感じでまとめた一冊がこのたびの詩集だ。なかなか制作が進まなかったもう一つの理由が仕事の忙しさにあったようで、彼女はDTPによる印刷版下の仕事をしているのだが、半分徹夜でこなすことも多いらしく、そこまで忙しくてはなかなか自分の詩に集中することはできないだろう。だがその職業としている手技を使って、自分の詩集を本文レイアウトも表紙デザインもすべてやり、紙を決めて印刷の手配まで行った。あらゆる点で記念に残る一冊となったはずだ。作品は「黒も白も黄もみんな」から始まる14篇。自己の切実な経験から発する抒情を中心にそこに世界の物事、状況、人間模様がときに騒々しくときに悲痛に織り混ざってくる。
「黒も白も黄もみんな」の前半部分を引用する。

男が死んだ
子宮 がうずく
産道を走る地下鉄 地下鉄日比谷線 神谷町
永遠に生まれることのない
チカテツ

男たちが戦えば 戦うほど
勝利を手に入れようと すればするほど
それはムスコたちへの憧れであり
ムスメたちへの渇望である

一本の機関銃と一人の男
ペニスを銃 に持ちかえて
生と信じる方向へ
まっすぐ ぶっ放す
(後略)

深澤さんは現在フランスにいる。詩集ができるのを待ち兼ねたように飛んでいった。朗読をしたり、詩のフェスティバルの手伝いをしたり、いろいろ武者修行をするようである。仕事はどうするの?と聞いたら、パソコンがあれば向こうでもできる、とか。なんともたくましい。大きくなることを願いたい。(池田康)
posted by 洪水HQ at 13:53| Comment(0) | 日記
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