2011年05月30日

音がない楽器、絵のような板

森山恵さんの新しい詩集『みどりの領分』(思潮社)で、「ぶどう色の」という詩があって、「ことり、エナガ、のながい尾、ぶどう色の―――」ピアノでリズムを、ずらして指でポロポロ演奏しているんだな。エナガは軽い鳥で軽い紫色の鳥で白い鳥であると思った丸い鳥。「羽ばたく音、が―――ぶるるるっと小さく、身ぶるいする音、がして」耳を使って書いているし、動きを、とても、書いていると思う。静かな白い木が多い森である。乾燥した葉の上をカサカサと歩いた小さな生き物「声がする、声、が/ぶどう色の、声、―――/―――声、」ピアノでもないのかもしれなくて、音がない楽器であると思った。音がないのだが演奏であるし、いろいろな腕の動きがあって、舞台を人々は緊迫して見ている呼吸「はじめから鳥でなかった、ただの一度も、鳥ではなかった、/鳥のかたちをして、それでも鳥ではなかった、/鳥であり、もっとたくさんのもの」静かなギターのような、でも音がない森で、「ふたたび、/ぶどう色が、来る」絵のような板(小笠原鳥類)
posted by 洪水HQ at 23:30| Comment(0) | 来信
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