2011年07月27日

岡本太郎美術館へ

26日、生田緑地の岡本太郎美術館へ、空閑さんと、彼の友人のMさんと行く。向ケ丘遊園駅で落ち合って歩いていったのだが、ゆっくりとした約20分の散歩は、だんだん森が近づいてくる感じが、わくわくとして心地よかった。この日は同美術館の「人間・岡本太郎展」後期展示のレセプションの日、非常な賑わいだった。なぜ私が同行したかというと、先日空閑さんが同館を訪れて館長の村田慶之輔氏に会ったとき、どういう成り行きでか、「洪水」誌をこの美術館のショップに置いてもらえることになり、夢ではなく嬉しいことに現実となって、この日ショップを見たら最新号の8号をはじめとして、5〜7号までも、置かれて販売されていた。空閑さんに紹介してもらって村田館長に御礼を申し上げる。
竹橋の東京国立近代美術館での「岡本太郎展」は作品中心だったのに対して、今回の「人間・岡本太郎展」は、人間中心で、生涯の道のりや交友関係などに焦点を当てての展示ということで、時間的制約があって隅から隅まで細々とは見られなかったが、具体的史料として非常に興味深いものがたくさんあった。この日乾杯の音頭をとった池田龍雄さんなど、太郎に関連する他の作家の作品も。福島でたまたま出くわしたヤノベケンジ氏の作品にここでも出会った(「太陽の塔乗っ取り計画」という映像作品)。式の最初に川崎市長や館長といった方々が挨拶をしたスペースの舞台奥に当たる場所に、金と銀、二つの大きな円形のレリーフの作品(?)があって、あれはなんだろうと思っていたのだが、入り口で貰った「パブリックアートマップ 岡本太郎のいる場所 首都圏版」という冊子を見ると(コンパクトによくできた案内書)、東京オリンピックと札幌オリンピックの記念メダルを大きくしたもののようで、そんなところにも参画していたのか、戦後の日本の大きな文化事業にことごとく関係しているのだなと驚いた。今回の展覧会の図録は、村田館長のスピーチによれば、重量的には軽く、しかし内容のつまったもので、学芸員の方達の力のこもった論文の他、田中角栄との対談のような珍らしい資料も入っていて、読みどころが多そうだ。「序にかえて」という冒頭の村田館長の文章に、「誤解の満艦飾となって誇らかに華やぐべきだ」という太郎の言葉が紹介されており、面目躍如というほかないが、果てしなく動く多面体の、普段は見えにくい面のいくつかがくっきりとクローズアップされた展覧会とも言えるかもしれない。9月25日まで。(池田康)
posted by 洪水HQ at 10:44| Comment(0) | 日記
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