
草場書房から新刊が出た。大河内昭爾著『わが友 わが文学』、四六判436ページ、2200円+税。発行人の草場さんにとって大河内氏は師とも仰ぐべき恩人と言っていいのだろうか、それだけに草場書房にとって非常に大事な出版ということで、大変な編集作業を一年がかりで進めていたそうだ。様々な作家の文庫本などにつけた解説文を集めたもの。本の制作途中、草場さんのパソコンの故障があり(夏場は注意すべし!)、私もデータ修復をすこし手伝い、そのときかなり近しく文章に接したが、思い入れのある作家の主要作品を丹念に論じた、非常に読み応えある評論集だ。論じられている作家は次の通り:吉村昭、津村節子、古木鉄太郎、伊藤桂一、新田次郎、近藤啓太郎、五味康祐、富島健夫、耕治人、原田康子、近藤富枝、宮本輝、日野草城、森田功、安田満、渡辺毅、庄司肇、志賀直哉、小島政二郎、丹羽文雄。秋山駿氏の跋文がついている。ぜひご覧いただきたい。
(池田康)