2012年01月23日

『人間にとっての 音⇔ことば⇔文化』

otokotobabunka.jpg湯浅譲二、川田順造両氏による『人間にとっての 音⇔ことば⇔文化』が完成した。これは、お二人が18年前に「ポリフォーン」という雑誌に公表した往復書簡を基にして、それに「洪水」8号に掲載した対談、そしてその後、昨年9月に湯河原の川田氏のお宅で行った二回目の対談を後半に収めた一冊だ。(税込1260円)
往復書簡の部分は、川田氏は当時調査のため滞在していた西アフリカで、湯浅氏はカリフォルニア大学に教員として勤めていた頃に書かれたもので、日本の風土を離れた、クリアな眼差しの相対性をもって考察がすすめられ、日常生活の狭苦しさに囚われている身には啓発されるところが非常に多い。とくに自然と人間の関係が論じられるところは昨年の大震災にも通じるものがあり、20年近く前に書かれたものながら異様な迫真性を帯びる。後半に収めた対談では、時間というものについて生活の時間と芸術の時間のあり方が突っ込んで語られる部分とか、ダンスとエクリチュールの対比とか、非常に興味深い。私は個人的には宗教諸派の「聖典」を見事に相対化する思考に(詩は理想的には聖典のようになるべきだと思っていたところもあったので)目覚ましい思いがした。
現代日本を代表する作曲家と人類学者が半世紀を超える豊かな経験をもとにがっぷりよつで語り合うひりひりした緊張感を味わっていただきたい。
さて、この本は洪水企画の新書判シリーズ「燈台ライブラリ」の第1巻として刊行される。このシリーズは、詩歌という狭い文芸ジャンルにとどまらず、文明を問い、思想の構築を目指すという広い視野のもとに編集される。カバーのうしろのそでに「燈台ライブラリは、今日のわれわれ、次世代のわれわれ、そしてこれから千年のわれわれの、文明構築の原理を考え、文化創造の視野を刷新する、その標となる灯をかかげるために編纂されます」というモットーを表明していて、どれくらい実現できるかわからないが、とにかくそれを目指して刊行を続けていくつもりである。
(池田康)

※なお、この本にはいくつか誤植が見つかっているので、すでにお手元に本がある方は、下記をご覧いただき、訂正箇所を確認していただけますようお願いいたします。

『人間にとっての 音⇔ことば⇔文化』本文訂正

94頁3行目
聴覚曲 → 聴覚的
152頁10行目
音楽 → 音声
153〜154頁
右脳 → 左脳
左脳 → 右脳 (すべて逆にする)

お詫びとともに訂正いたします。
posted by 洪水HQ at 16:35| Comment(0) | 日記
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