25日午後、上記コンサートを名古屋・伏見のしらかわホールで聴いた。指揮を務められた新実徳英さんに教えられて。一宮市の子供たちによる合唱グループである。非常にきれいな歌声、しかしホールがやや大きすぎたかもしれない、力強さという点で迫り方がやや淡いところもあった。プログラム前半は、まず「おやつうた〜Sweets Suite〜」これは、お菓子をテーマに合唱団員がたくさん詩を書いて、その中から良さそうな五篇を選んでピアニストで作曲家の名田綾子さんが合唱曲にしたという面白い経緯で誕生した作品。軽快でユーモアがあって、聴いていて楽しい。団員も自分たちが制作に参加した曲を歌うのは格別だろう。前半の残りは外国の宗教曲で、ミハエル・ハイドン作曲の「アニマノストラ(=私たちの魂)」とヨーゼフ・ラインベルガー「ミサ曲」、オルガンの伴奏(新妻由加氏)が新鮮だった。前半の指揮は田尻真高氏。
後半は、新実徳英さんの「つぶてソング」全12曲で、指揮も新実さんが担当、ピアノは吉田雅博氏。この作品は、大震災のときに福島の和合亮一さんがツィッターでつぶやいた“詩の礫”から新実さんが選んで曲をつけたもの。はかない断片的な曲を予想していたが、なんと、堂々たる組曲になっていた。作曲家の編集力、構成力によるところが大きいと思う(シューベルトの歌曲集を思わせる花束のような音楽世界を作曲家・新実徳英は「白いうた 青いうた」でも構築しているし、その方向の構想力に優れたものがあるのだろう)。和合さんの原テキストは、“作品”になりきっていない“断章”であるところに被災現場の独自の悲痛さがこもるのだろうが、新実さんのこの「つぶてソング」は立派な“作品”であり、そこに微妙なズレを見出すこともできるのかもしれない…が、いや、これこそが“対話”なのであり、“創造的対話”はこのように異なる位相へと言葉、感情、意味を導くのだと考えるべきだろう。詩人と音楽家の大きな“対話”に出会うことができた。
さてプログラムの文によると、新実さんは大震災以降、作品に通し番号をつけることにしたのだそうで、それは「A.E.(After the Earthquake)」番号というもので、「A.E.1」以降の曲を列挙しているのだが、これが十曲もあるのだから大変な産出力だ。「弦楽四重奏曲第2番」/歌曲「奥のほそ道─越の国々」/「つぶてソング1〜12」/ピアノトリオ「パッサカリア」/女声合唱とピアノ「恵信尼・夢(仮題)」/金管5重奏「神はどこに」/ソプラノ、尺八、打楽器、チェレスタと弦オケ「古代歌謡─荒ぶる神と鎮める神」/尺八と箏「奏鳴の譜2」/「サクソフォン・スパイラル」/「室内協奏曲2」と並んでいる。今年も同じくらい豊饒多産であっていただきたいものだ。(池田康)
2012年03月26日
フォーラム21少年少女合唱団 第19回定期演奏会
posted by 洪水HQ at 16:30| Comment(0)
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