2012年12月04日

酒見直子詩集『空へ落ちる』

soraheochiru.jpg一昨日の日曜日は久しぶりに日曜日ぽい過ごし方をした。父親と一緒に、かぼちゃの天ぷら入りのうどんを食べ、清酒“眞澄”の小ボトルをあけながら、テレビで福岡国際マラソンをスタートからゴールまでずっと見ていた。この選手の名前は言いにくいねとか、スペシャルドリンクの中身はなんだろうとかつまらないことを呟きながらの、なんとも怠惰なお昼。こんなのんびりした気分になったのも、製作に半年以上かかっていたこの本が土曜日にできあがってきて安心したからだろう。
酒見直子さんは、今回跋文をいただいている柏木義雄氏の詩の教室に参加して詩を書いてきた方で、これがはじめての詩集。先輩たちの意見も聞きながら、時間をかけて推敲を重ねた。各種の文学祭で賞を獲得した作品もいくつか入っているという。素直な抒情詩から、ナンセンスの極みを目指すような突飛な発想の詩まで、作風の巾は広い。ここでは、季節は反対になってしまうが、「夏で釣る」という短い作品を紹介したい。

 夏の太陽は七歳の私の味がする
 夏の雲は十二歳の私のにおいがする

 咲いたばかりのヒマワリは 
 うら若い母さんのおもかげがあり
 河鹿の鳴く声の中に
 幼い頃の泣き虫の弟がいる

 夏を小さくまるめてエサにして
 心に釣り糸をたらせば
 ひっかかったのは
 少し日に焼けた
 たくさんのなつかしい私
 やぶれた虫取りの網
 泥のついたちっちゃなサンダル
 おーいと呼べば
 それらは笑って私に手を振る
 私に手を振る

カバーの絵はイラストレーターの中村豪志氏の作品。洪水企画刊、1600円+税。今後ますますの活躍を期待したい。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 20:55| Comment(0) | 日記
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