2013年08月27日

マルク・コベール著『骨の列島』

honeretto-img.jpgシリーズ〈詩人の遠征〉の第2巻が刊行となった。フランスの詩人、マルク・コベール氏の、日本を舞台にしたミステリー仕立ての小説で、コベール氏の親しい友人である有働薫さんが翻訳した。本の袖にのせた梗概には、こうある。
「刑事オガタが行う一連の捜査は、うわべは整った日本の社会を震撼させる渦の真実に向かう。窃視症と変態性欲も含まれるこれらの犯罪録は、失踪、あるいは蒸発、つまり市民が自発的に姿を消すという観念と結びつき、最後には、ひとりの哲学的美食家を快楽と死の極限まで見送る。伝統と現代性と退廃の間で引き裂かれる日本を透視する詩人マルク・コベールの異色小説。あわせて詩三篇も収録。有働薫の友情に裏打ちされた翻訳による。」
詩人独特の発想に加え、フランスの文学者の知的な話術も随所に入り、日本の流行小説家の作品を読むようなスイスイとした読書にはならないが、〈外〉からの視線はこの国の生活風習や文化の奇妙な点や魅力的な形を強い輪郭線であばき出し、その異形さが物語の異形さにつながっていくところ、きわめて刺戟的だ。有働さんの数年にわたる翻訳作業の苦労も相当なもので、とりわけ編集の最終局面では、この夏の暑い日々に、細心の注意をもって修正に修正を重ねられた、その尽きることのない熱意に感服するばかりだった。発行・洪水企画、発売・草場書房で、本体1800円+税です。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 13:49| Comment(0) | 日記
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