2013年08月30日

新城貞夫著『ささ、一献 火酒を』

sasaikkonkashu.jpg詩人の遠征シリーズ3冊目の制作を、『骨の列島』とほぼ同時に進めていた。それがこの本、沖縄の歌人・新城貞夫さんの“詩文集”『ささ、一献 火酒を』である。短歌作品を集めた第一部、おもに政治思想を論じたエッセイを収録した第二部、出版にあたりこの夏に行ったインタビューの第三部からなっており、全体で160ページ。本の袖には、こう内容紹介されている:
「政治の季節を風に逆らって走る孤独の精神をうたう歌集「間歇泉」、沖縄の戦後の思想と思考のあり方をきびしく問い質す檄文風エッセイ「簒奪の帝国へのメッセージ」。歴史を見つめる思想家にして六〇年代前衛の気骨を継承する歌人・新城貞夫の文業の精髄がここに見いだせる。併録のインタビュー「サイパン、沖縄、そしてアジアへ」が現在の著者の考えを明らかにする」
スタイルと制作時期の異なるテキストを組み合わせることにより、精神の立体性が強烈に現われてくるところが本書の成立のポイントとなっているように思う。沖縄という特別な場所の香りも重要な要素だ。
「間歇泉」から冒頭の三首を引用紹介する:
・むらさきの広野を為して胸ありきたたかいにわが敗れて帰る
・洋なかの島を巡りて渡る風、白帆のごとやわが発ちしかぬ
・われに杳きアメリカ語もて火を禁じまひる断崖に鳴く螽斯
インタビューは7月9日に那覇に赴いて行ったが(ブログにそのときの沖縄行きを報告した)、はじめての沖縄は刺戟的で、とてもいい旅になった。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 15:34| Comment(0) | 日記
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