2014年02月04日

洪水13号の紹介

kz13hyosi.jpg特集は、松平頼暁「What's next?」。責任編集を松井茂さんにお願いし、編集協力で川崎弘二さんにも加わってもらってまとめた。秋に松平さんが入院されたため、制作が大幅に遅れたが、なんとか1月中に雑誌を完成させることができてよかった。その内容構成は、松井さんによるインタビュー「はみ出した音楽から、よりはみ出るための思考」、これは12月28日に行われたもので、川島素晴さんがゲスト出演されている。講演録「日本の電子音楽の歩み EXSPO'70から現在のコンピューター音楽まで」、これは2006年に行われたもので、有馬純寿さんが聞き手、川崎さんがまとめてくださった。論考は川島さんが松平さんのキャリア全体を通じての詳細にして重厚な大論文を執筆してくださったほか、石塚潤一さんが管弦楽、中村和枝さんがピアノ曲、松平敬さんが声楽曲について書いてくれている。短いエッセイは中ザワヒデキ、大木裕之、伊村靖子、松井茂、福井とも子、田中吉史、木下正道、鈴木治行、有馬純寿の諸氏が寄せて下さった。詩は平田俊子、田中槐、松井茂の三氏の作品。眺めているだけで惹かれるものがある。最後に川島さん作成の作品表と川崎さん作成のディスクデータを横組・頁逆行で入れてある。非常な労作。これまでの小誌の特集とはちがった専門性のコクを十二分にふくんだ特集になっているのではなかろうか。
今回が一応最後となる「詩で描く新世紀地図」第5回は阿部日奈子さんに撰と解説をお願いした。選ばれた作品は、新井豊美「シチリアの夏」、古内美也子「六月の影」、長田典子「NORTHWEST」、西元直子「巡礼」、江夏名枝「海は近い」、藤原安紀子「イヲ/(ルカリテ)」、そらしといろ「学食のメニューに[私=ナポリタン]を加えたいのです」。女性ばかりとなっている点は、阿部さんの解説をご覧いただきたい。
原点の詩インタビューは清水茂さんにご登場いただき、聞き手を小島きみ子さんにお願いして、9月に行った。お二人の個性もあり、ゆっくりと進む、深みのある話になったのではないかと思う。
巻頭詩は篠原資明、宇佐美孝二、長津功三良、三角みづ紀、田中健太郎、酒見直子の六氏の作品。
「音楽はうごく」のコーナーで三輪眞弘さんが音楽を担当した舞台芸術作品の紹介をしてくださった山崎美穂さんは本誌初登場。
馬場駿吉さんの瀧口修造の俳句形作品を論じたエッセイは、今回は池田龍雄さんを取り上げており、「梵天の塔」の話も出てくるが、このあいだギャラリーときの忘れもので池田龍雄さんにお会いしたときお尋ねしたら、64枚の円盤からなる塔を移し替える正確な行為の回数は、美術評論家の中原佑介氏が計算式を立ててくれて(若い頃、湯川秀樹研究室で理論物理学を専攻していたそうな)、それを計算したものだそうだ。
(池田康)

訂正
発売の草場書房が昨年末に佐賀に移り、奥付のところもそうなっておりますが、郵便番号を直しそこねていました。正しくは「849-4282」です。
posted by 洪水HQ at 09:51| Comment(0) | 日記
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