2014年03月01日

國峰照子著 『二十歳のエチュード』の光と影のもとに

二十歳のエチュードの光と影S.jpg今日を発行日として國峰照子さんの新著が出た。洪水企画刊、詩人の遠征シリーズの第4巻。袖のガイド文にこうある:「戦後すぐの時期に『二十歳のエチュード』を書いて自ら命を絶った原口統三、原口の精神のあり方を受け継ぎながら、フランス文学の研究、翻訳、そして映画台本の執筆と幅広く活動した橋本一明の両者の生の軌跡を追うクリティカル・エッセイ。二人の詩と思想のドラマを再構築するなかでアルチュール・ランボーと著者國峰照子の視線が交わり、近代が激烈な渦をなす時代の一瞬の閃光を捕獲する。」
國峰さんと橋本一明の家とは、一明の姉の節子さんにピアノを習っていたという密接な関係があり、こめられた思いは強く濃いものがある。一明の母の松枝さんの回想記『松が枝』からの引用が文学資料とは違った角度から光を投げかけて非常に効果的で、近しい人間しか知らないこの私家版の回想記のずしんとした存在が國峰さんのこの評論を特色づける一要素となっている。同時代人、橋本一明と親しく交流した文学仲間たちの証言も多く読むことができ、その時代の雰囲気がよく伝わる。
昨年秋、高崎の國峰さんのお宅へうかがって長時間打ち合わせをした日のこと、とりわけ國峰さんのあらゆるテーマについての非常に熱を込めた話し振りが思い出される。國峰照子さんが心血をそそいだ、詩論であり詩人論でもあるこの本を、ぜひご覧いただきたい。1800円+税。
(池田康)
posted by 洪水HQ at 15:16| Comment(0) | 日記
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