2011年01月09日

ガサガサの虫

短歌新聞社の…現代歌人叢書の斎藤史『遠景』(1972)。とても暗いオレンジ色が強い闇である光である表紙「野に捨てた黒い手袋も起きあがり指指に黄な花咲かせだす」手袋は黒い石なので骨のように細い光も光っている。花はいろいろな細かい丸さのある細長い部分が多く並んでいてピアノ弾く、「内海を出でてゆくとき花を投げる手帖もなげるはや流れゆけ」、手帖の表紙は鮭の皮なのでウロコがヘビのようだったし、花はワニの肉のように赤くて弁当に入っている花のようで、タンポポだった。スイカも流れる闇「ごく小さきくらきレストォラン湖に向き湖昏るるとき窓閉ぢにける」オペラの人がイタリアのように歌っていたので、石の建物の舞台が黒い湖のようだったし怪物も広がっていたし、窓にはカーテンがあって、カーテンを開けるとヘビの頭も昆虫(巨大)の頭も出てくる夜「豆煮れば豆ひそやかにつぶやけり未来(さき)の世も同じこほろぎの声」暗い部屋で動くものは全てガサガサの虫だ、乾いた料理も蟻(小笠原鳥類)
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2010年12月21日

白鳥もフラミンゴ

短歌新聞社の。短歌新聞社文庫が、とても静かな淡い光のある白い装丁で、温かい建物の映画の棚に並んでいるのだと思う、『黒松』は若山牧水の、歌集で、「水甕(みづがめ)の深きに浮び水のいろにそのくれなゐを映すトマトよ」白鳥もトマトの色になってしまったらフラミンゴであると思ったのでした。「舌に溶くるトマトーの色よ匂ひよとたべたべて更に飽かざりにけり」カレーも飽きないと思うし、カレーもドロドロだし、トマトも食べて飽きないことである。「声ばかりするどし鳥の樫鳥ののろのろまひて風に吹かるる」窓から一瞬見たカケスはとても暗い山で、この山はカモシカの背中なのだと思った。カモシカは深い。「鯉こくにあらひにあきて焼かせたる鯉の味噌焼うまかりにけり」鯉という魚はとても深い場所(緑色)なので深海魚なのかもしれないしアンコウのような気分なのかもしれなかったと思った。「とめがたき声なりながら聞えたる筒鳥の声は消すよしもなし」ツツドリがポポポポポと、消えない版画(小笠原鳥類)
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2010年12月12日

ここには全ての鳥が集まっている

岩波文庫(緑)の緑色の、伊藤一彦編『若山牧水歌集』(2004)、「、」を使った短歌もあって、「皿、煙管(きせる)、ソース、お茶などときどきに買ひあつめ来て部屋を作れる」それから魚も買ったし、あるいはメダカを買うこともあった。水槽が丸い透明でグルグルである(…)の中はルビ「朝など、何だか自分が薄い皮ででもあるやうに思はるるときがある」室内が丸くて明るいお菓子になってしまうので、自分は部屋の表面で中のドロドロを包んでいるのさ、自分はミカンの硬い部分と軟らかい部分であるウニ「酔(ゑ)ひしれて見つむる夜の壁の上に怪鳥あまたとべる画(ゑ)のあり」ゑ、ゑ、と言っていると、これは怪獣のような象であるな、壁の上でドドドドッと横に横に移動している影のようで、サメがエイのようであった「ほととぎす樫鳥(かけす)ひよ鳥なきやまぬ峡間(はざま)の昼の郭公(くわくこう)のこゑ」ここには全ての鳥が集まっている、ネズミを食べるのでもないかもしれないがアオエリネズミドリ(小笠原鳥類)
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2010年11月28日

緑色だ爬虫類は

1980年に日本近代文学館が復刻した、北川冬彦の詩集『検温器と花』(1926)が、ああ緑色だ緑色だ、濃い緑色だ緑色だ、表紙が。装丁も北川冬彦だった緑色。(1988年の、沖積舎の、『北川冬彦全詩集』で読める検温器と花とは、少し、いろいろな部分が、違うだろう、)短い詩、短い瞬間が多くて、大きな、人の顔を描いたページの絵も北川冬彦が描いた描いた。「白菜を積んだ荷車が食卓のやうに現はれた。」テーブルになっていてワニの上にいろいろな野菜が並んでいたクラゲのようだっただろう、「飛行船が魚のやうに泳いでゐる」青空は明るい灰色で粉のような点が多い版画なので飛行船は呼吸する呼吸する、「空に赤い穴があいた」あー次の一行が「その穴から舌がだらりと垂れてきた。」太陽が口であるなら明るいチョコレートを溶けながら食べるシロクマであるのかもしれない。「縞馬のやうな扉」横に広がって長くて、後ろにはライオンも虎のような草原に乾いて隠れている、「爬虫類は」「風呂から」ゆっくりズルズル出て来る(小笠原鳥類)
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2010年11月16日

小さな版画の、乾いた動物の絵

今年の、8月2日に、ここで、高貝弘也さんの詩集『露光』、について、書いて、それから、高貝さんの、次の新しい、詩集『露地の花』(思潮社)について、今は、書くだろう「玄鳥(つばめ)が腐りはじめた。」ツバメがケーキになっていく島、(つばめ)はルビであった。島のまわりをシャチがグルグル回っているカモメ「海雀」ウミスズメ科なのではないかと思った。ウミスズメを多く並べると、ピアノになる。ピアノになる紙「イソヒヨドリか。」高貝さんの、詩は、とても語が、版画であると思った、小さな版画の、乾いた動物の絵が、いにしえの版画の黒い図鑑、である。露地の花の詩集の、カヴァーに、暗い青い点が版画のように並んで、これは川なのだと思ったし、イソヒヨドリは暗い青の鳥だ、紫の緑であるのかもしれなかった魚を食べる細い魚を飲み込む。水面では「腹白い魚が、露地うらで鳴いている。――」魚の腹は金属のピアノであるのだと思った。フルートの箱の中には金属の銀色のフルートが浮かんでいる(小笠原鳥類)
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2010年11月12日

イグアナ

イグアナ。短歌研究社の、短歌研究文庫の『春日井建歌集』(2003。それまでの春日井さんの歌を多く、集めた…)で、歌集『友の書』(1999)からの、イグアナ。イグアナがいる歌。「グリーンイグアナ欲望くらく秘めながらオーディオケースの上に動かず」暗い低いギターの音がグリーンという音になってとても長かった尻尾である背中だ、頭があって舌が、あるだろう。オーディオケースは黒い木やガラスであると思ったし、ゴムがグルグル回転するのだと思ったし、回転する黒いレコードの上にイグアナの尾「餌をやるときのみ動くいきものは古代のみどり生き継がむとし」動かない時は回転しているのだと思った、そうでもないかもしれない野菜を食べるんだが。古代はとても土も緑色だったのかもしれないし、土の部分が背中になって重く土を落としながら落下するんだ、這う。「朝な朝な目ざめてまずは目に追へり緑の欲望のごときイグアナ」恐竜の図鑑の恐竜が全部紫色の鯉であったらウロコが光る楽器だろうと思うよ(小笠原鳥類)
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2010年10月23日

「彼はいいですよ」

「洪水」5号で嶋岡晨さんが「彼はいいですよ」と言った、彼=広瀬大志さん。広瀬さんの新しい詩集『草虫観』(思潮社)はとてもカヴァーが透明に近くて赤いのであるな、いくつかの部分が赤い広い本…「回復」という、土から再び出て来るような詩を最初から最後まで引用するんだ「焼けつくような地面の上で/終わることのない/虫や微生物たちの/強い力が届いてくるとき」乾いた熱い地面は大量の骨であると思った、私は脊椎動物のピアノが並んでいるのを見たのです。背中は盛り上がりだ(一行空白)「また/青色や緑色の/目に見える動きがはじまり/黄色や赤色の/耳に聞こえる動きがはじまるだろう」カエルの背中であったのだなあ熱帯で、森の中でいろいろな光に光っているよ、点なんだ、ぼんやりしているが中心はなかなか明るい明るい(一行空白)「いつの日か//時間と今は同じ力になるだろう//今と明日は同じ意味になるだろう」とても明るい力強い健康な声で、全てが圧縮されるような重い金属と重い金属の間をドーンと言う。(小笠原鳥類)
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2010年10月10日

岡井さん新歌集、キキダダ登場も

岡井隆さんの新しい、9月の短歌の本『X』(題名の隣に小さな字で「イクス――述懐スル私」と書いてある。短歌新聞社)で、キキダダマママキキ(という名前の詩人)は、登場してきた。「ある時期に限つてキキダダでありし人われに近づき岸田と名告る」あー、キキダダ、詩集『生まれないために』(七月堂、2004)の……ダダダダと歩いて来たのか、背後にダダダダを闇に隠して、ゆっくりと岸田が歩いてきて、岡井さんに「岸田です」と言った。岡井『X』には、それから、「黒もいや、だが白つてのもおちつかない蝶はあつまりにくい水の辺」とても明るくなったりとても暗くなったりする瞬間のゲームなんだな、厚さがないよ光「宿からは「浜が遠い」と言つて来た。魚介にまじり寝むと願ふに」ヤドカリは青い灰色の砂の上でカリカリと手足を動かしているし、砂と、石の間の、長い虫が眠っているように夢が動くウヨウヨだ「しのび寄る狼のため犬たちが身じろぐ霜夜行かねばならぬ」細かい氷も呼吸の一部なので食べる冷たい(小笠原鳥類)
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2010年09月23日

谷元益男、プールとキノコ

「ぼくは一度だけこのプールで/泳いだことがある」(と、谷元益男さんの2004年の、思潮社の詩集『水をわたる』の詩「プール」で)。この詩を一度だけ書いたことがある、この詩は青い暗いプールの幽霊だ。プールの端で腕を水につけると、「向こう岸の/水際から腕が突き出てくる」「たしかにぼくのものなのだ」ああ、とても長い8メートルの腕なんだろうなあ氷の下のチョウザメの、ような。ナマズのように泳ぐ暗い変な驚きなのだ、それから、今年9月の、谷元益男さんの、新しい詩集『水源地』(本多企画)が、山奥でキノコを探してカゴに入れる、キノコがいる場所を多く知る者が老いて、「老いた者が/亡くなるとき/死の間際で/見た夢の中に/おびただしい/鮮やかな茸のカサが/ゆっくりと/開きはじめる」(詩「群生」)踊っていて赤いキノコキノコ、口を開くだろうなあ、あまり長くない1行、1行が並んでいるのが顔のないキノコで、枯葉を栄養にして湿った日にウワアアアアと言って育っています(小笠原鳥類)
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2010年09月07日

学研の魚

(8月31日に小学館の最近の『魚』の図鑑について。書いて、)それから、ここでは、今年の……7月の、学研の「新・ポケット版学研の図鑑」の『魚』について(このシリーズの『鳥』が9月に出現するのであるのかな)。『魚』について。『魚』について、これはヤツメウナギのアンモシーテス幼生の写真ではないか!シベリアヤツメの…とても冷たい川でスイスイ泳いでいるのかなあ、ああリュウグウノツカイは写真ではなくて絵であるようだ(写真が多い図鑑だが)ヒレが、とても、赤い。フリソデウオが下にいて「成長とともに形が大きく変わる」象になったりキリンになったり馬になりカワウソになるだろうと想像の絵(わたしがそのように想像した)。カエルアンコウ(黄色)、ベニカエルアンコウ(赤)。黒い灰色の金属のようなギンダラはタラではないらしい。シモフリタナバタウオは黒に白の点が多くて、隠れていてなかなか見えないという魚。シイラの稚魚が、口を開けてとても小さなギラギラ宇宙怪獣であると思ったんだ(小笠原鳥類)
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2010年08月31日

小学館の魚

小学館の図鑑の最近のシリーズであるNEOPOCKETの、『鳥』がいつできあがるのか知らないのだが、『魚』は今年の6月に現われ、アフリカのシーラカンスとインドネシアのシーラカンスは別の種類になっていた。インドネシアのシーラカンスが泳ぐ泳ぐ青くて紫色の涼しいテレビを見たことが、あったかもしれない。底の近くでユラユラだった、それから、長い、曲がっているリュウグウノツカイがページの、上。最近の新しい印刷は銀色にピカピカ光るのではないかと想像していた幻想。「かまぼこをつくろう」のページが明るい色だった楽しい。「いろいろな色や形の」いろいろな色や、あの、それから、形の、……くまの頭の形の黄色いカマボコを。ヨーロッパウナギ来ている。ダツや、サンマの、骨が、緑色の色素があるので緑色だ、シダの葉の、ような。マダラタルミという魚について時々考えているのだよ。暗い顔のオオカミウオ(水族館で歯を見た顔を見た静かな音のないグアアアアア)を楽しく食べる人のイラストが(小笠原鳥類)
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2010年08月16日

多く軽く舞っている

「じゃのめじゃのめじゃのめじゃのめ」と長く繰り返されたので、の、とか、め、が、大きくなり小さくなる目のように見えたんだ、じゃのめじゃのめ、のある新しい詩集が中堂けいこ『ホバリング』(書肆山田、2010)で、空中で停止することがホバリング(ヘリコプターの)、空中で停止されている言葉は途中から途中で切られているような。カヴァーが少し温かい白で雲の中を移動しているとホコリも多いようで、都市の空の色なんだろうか、「弟は(月光仮面!)」「化け猫」「狐の形のが欲しかった」祭りの日の上には鮮やかなヘリコプターや、ホバークラフト。白い明るく飛ぶ「牛と女の子は並んでわたしを見下ろす。」「仔牛の顔。両耳の間に向日葵を付けている。」明るい動物の農業の映画のポスターなのではないかと思った、とても悲しみもあるような本で、「らっらっらっら」「バンザイするウルトラセヴンを救いなさい」明るいテレビは青くて空中を舞うものを映して、一つ一つの字や語を書いた四角い紙が多く軽く舞っているような(小笠原鳥類)
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2010年08月02日

金魚

高貝弘也さんの、新しい、白い表紙の、題名が金色に光って、いる……本である『露光』(書肆山田、2010)の、雪に散らばる文字を語を、見るのです読むのです「あの、いぬ!」犬。あの、……砂漠のような雪の上をザラザラ歩いていると、足の下に塩があるようだった乾いている。「(ハマグリの類という)」そのように図鑑の人が教えてくれました。これは何だろう…これは何だろう…と言っていると、キラキラして教えてくれます。とても笑って、言う。「魚を、また裏返す。」そうだなあ朝の食事を焼くので、こちらは焼けましたよ、それから、別のテレビを焼く(あの、テレビを見ながら朝の食事なので)青い。青い魚だテレビなんだ。「腐った金魚の真似をして」緑色のドロドロ腐った水のゼリーの水面に、なまこのようにウナギのようにナマズのように浮かび上がる塊なんだ腹を見せて歌うカエルのレコードのようになっている「しろい金魚」これを歌う虫が食べるんだな……スズムシが食べるのかもしれない「団子虫」(小笠原鳥類)
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2010年07月21日

池田康さん『一座』いくつかの石を拾う

池田康さんの新しい詩集『一座』(発行=洪水企画/発売=草場書房、2010)が……送られてきて、あまり大きくない明るい本、この表紙は、仏和辞典のパリの地図のように明るいと思った地図のような絵。明るい緊張したカチッと書かれた図形のような詩は並ぶ並ぶ、「しかしたぶん/足が正しい」短い詩に、いくつも鋭い部分を発見できると思いました「羊羹/本」硬い語を並べて使って光を見る。「近頃の闇は味気ない」闇はドロドロになった肉……「A」に「あ」というルビ、小さな透明な石。「緑のミクロの蜘蛛/ミクロの緑の蜘蛛」ああ、足が前になったり後ろになったり手。「鮒のフナ語の知恵」魚は暗い緑色で灰色で青くてウロコが録音している録画している丸い。丸い線。「B」に「ぼく」というルビ、これは暗い小さな石か、炭のような。「崖の上のきれいなマンション」が、石を並べた色が多い壁で、光っている貝。「みかんが届いた」詩に登場するミカンが丸い柿のような石なんだな透明なオレンジ色の海(小笠原鳥類)
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2010年07月12日

中桐さんと動物

思潮社、現代詩文庫38『中桐雅夫詩集』から、いくつかの部分……「蟻のいのち/青かびのいのち/海の魚のいのち/一個のルビイ」地球の海が丸いアオカビである、みかん、レモンなので、魚の黄色い光も水中が緑色であるだろう。あおかびザワザワ(風)「私の猫は」「ミルクをなめ、蜥蜴をたべた」ミルクが青く光って流れる夜、背中の線、彫刻(星座)……「海底から土竜が顔をのぞかせ、」「ひからびたかれいをなめている」カレイが曲がっているレコード。ひれが多いし、骨があって、定規を食べているような竹。「魚の血のごとく/冷たい野の花」夜は青くて赤いし、上には緑色が広がっている「山のなかの夜/流れる魚」山を切ると粘土だった。粘土で座る人の形を作っていると、足が魚について考えている「黒鳥は見る/ナイル河の魚、遠い昔から/腹を上にして泳いでいるシノドンチスを」おお、この、シノドンチスが……サカサナマズ。河は砂と砂の間にあった。「そのちいさな犬がすこしこわい、」その小さな犬が(小笠原鳥類)
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2010年06月30日

嶋岡さん新詩集

嶋岡晨さんと私の会話が……洪水5号で……10ページの文字になって……それから嶋岡さんの詩が5号と最新の6号に載っている。その5号と6号の詩も収録された、嶋岡さんの新しい詩集『愉しい人生の草野球』(書肆青樹社、2010)が、暗くて重くて強烈な怒りの爆発である「おお人生の狂ったヤドカリ」ヤドカリはガリガリガリガリ削る生き物だ「ウツボのたぐい」ウツボは爆発である「犬でないやつはいない」猫は、溶けて犬になるアイスクリームである「芸術犬」彫刻は木だ「完全犬化する文化史」雪の上で走っていると氷の彫刻を数万年前から並べ。並べ「満月が砕ける」犬の顔オオカミの歯「苦痛屋」(「苦痛屋」という題名の詩で、「靴屋」という語も出現)靴の中には虫がいてトカゲがいるので……「スリル!」「サスペンス!」サメの映画のようであると思い出しました「軟体動物」軟体動物に食べられるとドロドロ溶けるのであるな、暗くて口を開いている語がオオオオオオオと森で深海で顔を次々に見せて闇、フクロウ(小笠原鳥類)
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2010年06月17日

光る白い銀色のズズズズ

(12日の文章の続き、山本健吉の本で紹介されている昔の俳句について)「ゆうぜんとして山を見る蛙(かはづ)哉」(小林一茶)、引用の(…)の中はルビで蛙で、カエルは丸い水の中から顔や目を出して、口や口の下の皮膚が見えて、カエルは上に斜めの線を予感させる生き物だ、あまり動かない悠然「みじか夜(よ)や毛(け)むしの上に露の玉」(与謝蕪村)、いろいろな模様が長い絵の壁のようであって廊下を歩くと、廊下も虫である廊下の虫。石の冷たい廊下「涼しさは錫(すず)の色なり水茶碗(みづちやわん)」(伊東信徳)、スズ……光る白い銀色のズズズズ……「古井戸(ふるゐど)や蚊に飛ぶ魚(うを)の音くらし」(与謝蕪村)、蚊を食べる熱帯魚は井戸の暗い底で何かを喋ろうと思って、透明な羽をパサパサ食べる「名月やうさぎのわたる諏訪(すは)の海」(与謝蕪村)、うさぎ、うさぎ。水面に波が並んで、うさぎ、うさぎ、という語が白く書いてあって、うさぎという語を見ていればどこまでも行ける足(小笠原鳥類)
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2010年06月12日

たぬきがボソボソ

最近、5月、山本健吉『古典名句鑑賞歳時記』(角川学芸ブックス)が出現したので、いくつか山本さんが鑑賞している俳句を選んで思い付いたことを、書くと「手をついて歌申(まうし)あぐる蛙(かはず)かな」(山崎宗鑑)、畳の上であるな。指は透明で細くて畳の一部のようであった緑色、ゼリー妖怪。引用の(…)の中がルビ「五月雨(さみだれ)や蚯蚓(みみず)の潜(くぐ)る鍋の底」(服部嵐雪)、黒い金属に当時のパスタが貼り付いて曲がって動いて、並んでいる多いこともあると思いました版画「硝子(びいどろ)の魚(いを)おどろきぬ今朝(けさ)の秋」(与謝蕪村)、山本さんが「ガラス鉢の中の小魚(金魚・目高)の類」と言っていて、あー、ガラスで体の細胞ができている透明な赤い青い魚ではないのだな、でも金魚もメダカも肉がガラス骨がガラス、ヒレは布(透明)「戸を叩く狸(たぬき)と秋を惜しみけり」(与謝蕪村)、木の戸をボソボソ(とぼそ、だ)まるい手で叩く暗い動物は輪郭がはっきりしてなくて木、布、顔(小笠原鳥類)
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2010年05月21日

西脇訳

昨日、池田さんが西脇順三郎についても書いていたので……西脇順三郎編『英米詩集』(白凰社「青春の詩集」の一冊)について。この本では、西脇さんが訳した詩はあまり多くなくていろいろな人の詩のいろいろな人による訳。西脇訳のD・H・ロレンスの詩「死の舟」が「死の舟をつくりましたか/おお、つくりましたか?」「アー」木だろうか泥なのか葉なのか、軽い金属の組み合わせで闇を作っただろうか「われわれは死ぬのだ/われわれは死ぬのだ/めちゃめちゃにわれわれの体は/死ぬのだ」サメに食われた魚やアザラシがメチャメチャになった写真を生物学の本で見たと思った、いくつかの、写真「黄色いひらめき/不思議におお、冷えた青白い/魂!/薔薇色のひらめき。」「そしてすべてのものがまた始まる。」肉が花なんだなー「体(からだ)が不思議に美しく現われる。」紫色に銀色に光っている海から笑いながら肺魚のようにオオオオと。「その桃色の洪水の上で/よろめいて流れる。」肺魚がデンキウナギ「新鮮になった心」(小笠原鳥類)
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2010年05月16日

夜、外が寒くなる

古書店で買った岩波文庫の『プーシキン詩集』金子幸彦訳(81年の第17刷)は今ではかなり紙が茶色くて、まるいように見える黒い文字をウネウネトロトロと波打って読んでいくと吹雪の中で「魔物はさらにとびはねる。/やみに二つの目がもえる。/馬どもはまたはしり出す。/鈴がじんじんじんと鳴る。/見ると白い原のまんなかに/物の怪(け)どもが集まっている。」不気味なモノノケが多い、飛ぶという「魔物」という題名の、詩。この本の日本語の詩は(明朝体の種類も)ウネウネと舞う水中のタオルのようなウミウシ泳ぐ、であった「そのとき心はめざめた。/ふたたび君が現われた/つかのまのまぼろしのように/きよらかな美の精霊のように。」(「アンナ・ケルンに」)幻のリズムゆっくりゆっくりと体操するだろう雪の上で柔らかい筋肉を動かす(いつまでも長く)。「あらし」の詩では「霧のうずまくあらしの海の/波うちぎわの巌(いわお)の上に/白衣の乙女がひとりたたずむ。」夜、暖かい室内で読むと外が寒くなる(小笠原鳥類)
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