11日(水)、「四人組とその仲間たち」コンサートを東京文化会館小ホール(上野)にて聴いた。タイトルが「四人組 x 東京シンフォニエッタ」となっているのは、どちらも30周年ということで共同開催になったからのようだ。このコンサートシリーズで舞台にオーケストラを迎えるのは初めて見た。
曲目は金子仁美「ル・プロセシュス」、新実徳英「室内協奏曲III《無のまわりで》」、西村朗「虹の体」、池辺晋一郎「クラリネット協奏曲《旋回の原理》」。
実は1曲目の途中で体調不良が発生してロビーに出てしまい、2曲目以降は一応無事聴けたのだが、そのせいもあってか、耳に音楽が届くその届き方が少し鈍くなってしまった。音はもちろん聞こえるのだがそれがどういう音楽をなすのかというところで、テキパキと処理・受容できないというか。そういうわけで、以下の所感は残念ながらごく表面的なところに留まる。
「ル・プロセシュス」は30年ほど前の曲とのこと。気分的なうねり、盛り上がりと沈み込みの運動を基調としているように思われた。プログラムの説明にある「曲線のプロセス」ということだろうか。前半のみ聴く。
「室内協奏曲III《無のまわりで》」は昨年亡くなった西村朗さんを悼んだ曲とのこと。西村さんのイニシャルA.N.をAround Nothingと読み替え、道教と宇宙物理学の「無」を思って作曲したとのこと。レクイエムの静謐さとはかけ離れた、かなり激しい動的な音楽だったのでとまどったが、プログラムの説明に「ビッグバン」の語があったので、人間の尺度を超えた有と無のドラマかと、ちょっとわかったような気がした。
「虹の体」は東京シンフォニエッタが2008年に初めてパリで演奏した時に初演した曲とのこと。曲の初めの方の妖しい雰囲気はフランスを意識しているのかなあと感じられた。音が小気味よく組織的に動く部分はこの作曲家の技術がよく出ていた。西村さんはドイツでは高く評価されていたとのことだが、フランスでも受け入れられたのだろうか……
「クラリネット協奏曲《旋回の原理》」、池辺さんは若い頃クラリネットを吹いていたそうで、ならばぜひクラリネット協奏曲を書くべきだと東京シンフォニエッタの指揮者の板倉康明氏(クラリネット奏者でもありこの曲のソロも担当)に言われて書いたのだそうだ。冒頭、クラリネット・ソロの非常に技巧的なフレーズで始まるのでひやりとする。長さ10分に満たない小さな曲だが、アンサンブルの細工が凝っている。池辺さんはいつものように舞台上のトークでもジョークが冴えていた。
この日は豊田洋次さんから案内をもらっていた銀座8丁目のギャラリー「せいほう」での彫刻の展覧会にも寄った。百人以上の美術作家のごく小さいサイズの立体作品を集めたもので、街の上空からカーニバルを眺めているような賑やかさだった(21日まで)。
行き帰りの電車の中で読んだもの、夢野久作「斜坑」、安部公房「箱男」。
(池田康)